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ギャンブル好きの兄が、末期がんだとわかったときの話。
「一緒に病院へ行ってくれないか」。 7年ほど音信不通だった兄から電話があったのは2013年5月17日だった... 「一緒に病院へ行ってくれないか」。 7年ほど音信不通だった兄から電話があったのは2013年5月17日だった。 総額で1000万を超す貸した金は返さない─、知人の弁護士を通じて整理した債務の返済は滞る─、紹介した会社は問題を起こしてクビになる─。 度重なる不義理から長く絶縁状態だったが、いつになく暗い語り口に嫌な予感がした。 兄は電話をしてくる数日前に、10年ほど連れ添った妻と離婚していた。類は友を呼ぶと言うが、2人はそろって無類のギャンブル好きだった。 夫婦は、東海地方の某温泉宿で、住み込みで働いて得た毎月の収入のほとんどを、パチンコと競艇につぎ込んでいた。 生活苦でケンカが絶えず、自身の体調も日々悪化していく悪循環の中で、兄は妻に離婚届を突き付けた。 そんな状況だったから、やむなく、一緒に病院に付いてきてもらう相手として、絶縁状態だった私を指名してきたのだと思う。 普段は人を笑わせる、陽
2024/04/24 リンク