燈 - 月に帰る

大粒の涙をいとも簡単にぽろぽろと流す 君が泣いている夢を見た 僕がハンカチを差し出そうとした瞬間に目が覚めた 現実は逆だったのにね 僕は君の差し出したハンカチを拒否して服の袖で涙を拭った 君が普段よく行くと行っていた喫茶店で、僕は君の痛々しい姿に同情せざるをえなかった この世の全てを不安がっているような瞳、元気だった頃には想像もつかなったまとまりのない服装や話し方 君はとても素敵だったんだけれど頑張りすぎていて、だんだん壊れていった 君のその壊れていく様を僕は見ていたくなくて君もそれを感じ取って、なんだか僕らは疎遠になったね 君が完全に壊れた頃に君から遊びの誘いが入ったが、君の酔って僕を罵倒するような電話や、しつこいメールに疲れてしまって、もう一度遊んだら別れ話をしようと考えていた僕は首を縦に振ったが、それから君から連絡はこなかった なんだよ なんだよ！ 思い通りにいかない人生に腹が立った