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元大統領の遠縁の男 - sekibang 1.0
酒は百薬の長とはよく言ったもので、藤森常吉は毎晩5合の酒を飲んでからでなければ布団に入ることはな... 酒は百薬の長とはよく言ったもので、藤森常吉は毎晩5合の酒を飲んでからでなければ布団に入ることはない、と豪語するほどの酒豪でありながら、鯖野に住む年寄り連中のなかでももっとも頑強な肉体を持つ男だった。齢は還暦をとうに過ぎ、今や喜寿にさしかかろうとしていたにも関わらず腰などひとつも曲がっておらず、畑仕事も決して息子夫婦には任せてはおけぬといった様子でトラクターやスプレーヤーを自ら駆り、年中ほとんど休むことなく土にまみれながら暮らし、そして毎晩酒を飲むのである。彼の息子である藤森常夫はよく言ったものである――「おらほの親父は飲まねげれば死んっちまう」と。藤森常夫もそのときすでに50代の半ばであったのだが、父親が天寿を全うするまで自分に家長の座が譲られることはないのだろう、と思っているようだった。その年になっても家長の座を譲られないということは、この地方においては人格などになんらかの問題がある、と
2009/03/09 リンク