この密やかな森の奥で (二見文庫 グ 11-1) 作者:キミ・カニンガム・グラント 二見書房 Amazon 憧れている生活がある。かつて写真家の星野道夫さんが送っていたような、北米の山奥にある小屋で自給自足する生活だ。妄想を配合して、大自然のなかで戦地で傷ついた心を癒しながら生きている設定なら最高。聡明な子供がひとりいればなお良い。ボンクラ的にはなぜかセクシー美女に好かれる展開もいい。そんな静かで平和な暮らしを脅かす「敵」が近づいてくる。戦いのときだ。 映画『コマンドー』や小説『極大射程』等々、ボンクラホイホイ・フィクションでよく見かける設定だ。『この密やかな森の奥で』はそんな「コマンドーもの」の設定を踏襲している。主人公クーパーは元軍人。自分が起こした行動がもとで山奥で一人娘と暮らしはじめて8年になる。交流は戦友のジェイク1人のみ。コマンドーものなら、かつての上官や戦友が戦闘力を見込んで