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<連載短編小説>#もう一度レストランで|「焼肉」宇垣美里 │ ヒトサラマガジン
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<連載短編小説>#もう一度レストランで|「焼肉」宇垣美里 │ ヒトサラマガジン
恋人未満の二人をあとおしし、家族の記念日をともに祝い、おいしいお酒に友だちと笑う。レストランでの... 恋人未満の二人をあとおしし、家族の記念日をともに祝い、おいしいお酒に友だちと笑う。レストランでのありふれた光景が、特別なものだったと気づいたこの数年。レストランは食事をするだけの場所ではなく、人と人とが交わり、人生が動く場所だった。これは、どこにでもあるレストランで起こる、そんな物語のひとつ。 焼肉、それは祈り。どっぷりとタレに漬けられた肉の塊を網の上にそっと乗せ、わが子が如くじっくりじっくり育てた末に、ここぞというタイミングで食らいつく。食欲のままに、本能のままに。とって、やいて、くう。太古の昔から人類が生きるために踏んできたであろう工程をなぞれば、自分が人間という名の動物であることを、生きているってことを、実感できる。食べることは生きること。だから、私はまだ生きている。 「仕事、辞めたんだあ」 焼肉屋の個室に響いた園子の声は意図した通りののん気さで、そのがらんどうな明るさは我ながら耳障