特集ワイド：狙われる要人 試練の「悪循環の時代」 歴史に学び、希望持てる社会に 歴史学者・五百旗頭薫さん | 毎日新聞

岸田文雄首相の演説会場で身柄を拘束された木村隆二容疑者（中央）＝和歌山市で2023年4月15日午前11時32分、山口智撮影 またか、と背筋が寒くなった。安倍晋三元首相の銃撃事件から9カ月、今度は現職の首相に爆発物が投げられた。折しも混迷する国際情勢の中、防衛費増額を決めた今の日本。要人暗殺が続いた戦前が頭をよぎる。歴史学者の五百旗頭薫さん（49）は、この国の行く末をどう案じるのだろうか。 岸田文雄首相が4月15日、演説会場で爆発物を投げつけられた。事件を聞いた多くの人が、昨年7月の安倍氏銃撃と重ねたことだろう。私は角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」の最新刊（16巻）のラストシーンが、安倍氏が撃たれて横たわる場面だったことを思い出した。五百旗頭さんが監修したその本には末尾で＜災害や人口減という逆風の中で、日本は豊かで平和な社会を守ってきた。だがさらに不安定な時代が来るかもしれない＞と記され