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一切は過ぎてゆきます|伊藤亜和
アルミ製の、金色をした大きな鍋に、祖母は右手の出刃包丁で不均等に切ったりんごを次々と放り込んでい... アルミ製の、金色をした大きな鍋に、祖母は右手の出刃包丁で不均等に切ったりんごを次々と放り込んでいく。 私が生まれた時から家にあったその鍋は、2歳くらいの子どもならばすっぽりと収まってしまうように見えた。放り込まれたりんごが鍋の側面にぶつかる音が、ストーブで暖められた部屋にカン、カンと響いて、ときどき小さな置時計の振り子の動きと重なった。 「青森に行ったときに会ったおじさん、いたでしょ」 「ミツオさん」 「そう。目、見えなくなっちゃったったって。可哀想にね。」 つい2か月前に会いに行った時点で、おじさんはほとんど目が見えていなかった。緑内障を治療せずに放置していたらしい。おじさんの、孫らしき男の子の写真が飾られた古い家、新聞紙が床に敷き詰められた寒々しい洗面所、そして、百均で買ったというデタラメな度が入った老眼鏡が床に転がっていた光景を思い出す。 おじさんは一人暮らしだ。目が見えなくなっても
2023/12/31 リンク