科学における「キャンセルカルチャー」論争 - わが忘れなば

最近、英語圏において物理化学系の学術誌に発表されたあるエッセイを起点として、こんな専門誌を舞台に意外な、と思うほどの盛り上がりを見せた論争が起きた。それは、「キャンセルカルチャー」を巡るものなのだが、日本語圏ではこの論争についてほとんど紹介されていないようなので、今回の記事で簡単に紹介してみたい。 アンナ・クリロフ (Anna I. Krylov) が2021 年にアメリカ化学会が発行する物理化学の学術誌 The Journal of Physical Chemistry Letters に発表したエッセイ「科学を政治化することの危険 The Peril of Politicizing Science」*1は、左派的なイデオロギーが今日の科学界において検閲として働いていると指摘し、大きな評判を呼んだ。これに対して、同年フィリップ・ボール(Philip Ball)は、同誌において「科学はそも

[fromAmbertoZen]

セルクマ

[sadamasato]

「キャンセルカルチャー」と言い出す側の知的な不誠実さを感じさせますね。敵を悪魔化して、脅威を過剰に喧伝し、自身の倫理的責任は常に免責する態度…というのは本邦でもよく見られるように思います。

[IkaMaru]

"学術誌に載るような言論には無制限な自由を要求する一方で、SNS 上でおこるフドリツキーのエッセイへの非難を「自警団」とか「暴徒」とかのレッテルを張るとしたら、それは偽善だ"

[tekitou-manga]

政治性の否定も政治的。CCだと糾弾する事のCC的性質の矛盾はどう弁解するのか。ボールの反論はいちいち尤もだ。対話の重視に異論はないが、ならボールのエアリプにも答えるべきでしょクリロフは。

[agrisearch]

「クリロフは、ソ連時代のウクライナ・ドネツクの出身であり、若い頃に全体主義国家を身をもって経験している」

[haruhiwai18]

"が、そうかと言って学術誌に載るような言論には無制限な自由を要求する一方で、SNS 上でおこるのフドリツキーのエッセイへの非難を「自警団」とか「暴徒」とかのレッテルを張るとしたら、それは偽善だ"　→ブクマ。

[zyzy]

最初のボールの反論がほぼ全ての答えというか、アンチキャンセルカルチャーの人達はそもそもあらゆる学問含む言論が政治性を免れ得ず政治性から解放された知を人類は持ちえないという無知の知がないだけなんだよな。

[u310]

"偏見差別に対して声をあげるcall-outは社会の必要な構成要素、SNS では誤情報が含まれがちだが、学術誌に載るような言論には無制限な自由を要求する一方、それらへの非難を暴徒などと呼ぶとしたらそれは偽善だ"一部省略

[maturi]

表現するものとしての「責任と義務」を思い出させられておののく、と述べていた。物を書いて発表することによって否応なく発生する他人に影響を及ぼすことへの責任とそれでも書かなければいけないという義務を

[y-mat2006]

「consequence culture」結果責任カルチャーとでも言うべきなのか。

[rag_en]

この記事を読む限り、明らかにクリロフ氏の主張の方が真っ当。ボール、ハーバート両氏がやってる事はただの『「名義」カードゲーム』でしかない。 https://b.hatena.ne.jp/entry/4712814252348165442/comment/rag_en /論争換気？喚起？

[uehaj]

「キャンセルカルチャー」という用語を作ること自体に疑問がある。それは昔からある、差別や抑圧を批判したり抵抗したりすることにすぎない。それを揶揄して矮小化するための用語が「キャンセルカルチャー」

[Fondriest]

何というか「キャンセルカルチャー」と見出しは変わっても昔の科学者の社会的責任の時代から少しも変わらない科学者の幼稚さに呆れる。

[crowserpent]

科学者と科学ライターの論戦の要約・解説。難しい議論ではあるが、私は（個別の事例はさておき一般論としては）アンナ・クリロフの立場に賛成かな。／筆者とのやりとり：https://togetter.com/li/1983288