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チェーホフ 短篇と手紙 | みすず書房
「チェーホフを知っていますか」と問われた人はたいてい「もちろん知ってますよ」と、まるで侮辱されで... 「チェーホフを知っていますか」と問われた人はたいてい「もちろん知ってますよ」と、まるで侮辱されでもしたような口調で答える。「小説は?」「小説? あまり読んだことありませんね」 チェーホフ自身はみずからを短篇小説家と思い、そう自負していたにもかかわらず、読者は戯曲の方へ引き返す。なぜか? その問いにいくらかでも答えようとして、本書は編まれた。 自分のうちの「奴隷の血」をしぼり出せ。自由な人間たれ。それがチェーホフのもっとも重要なメッセージであった。チェーホフは甘くはなく、苦いのである。 短篇作家である編者ならではの選択による「浮気な女」「ロスチャイルドのバイオリン」など10作に、チェーホフの本質を明かす手紙の抜粋を添えた一冊選集。