民主主義脅かす極右集会の中断命令 寛容の押し付けが生む不寛容 黒瀬悦成の環大西洋展望

ハンガリーのオルバン首相 （ロイター）イランに攻撃されたイスラエルの対応が国際社会の関心を集めていた今月１６日、日本ではあまり注目されない重要な出来事が欧州で起きていた。 欧州連合（ＥＵ）や北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の本部があるベルギーのブリュッセル市内で、欧州諸国の極右政治家や保守派の学者らを集めて１７日までの予定で開かれていた「国民保守主義会議」の会合が、地元の区長の独断で中断を命じられたのだ。 会合では強権体質で知られるハンガリーのオルバン首相、昨年１１月に更迭された移民排斥派のブラバーマン前英内相らの講演が予定され、極左勢力「アンティーファ（ＡＮＴＩＦＡ）などの過激派集団が市内で抗議活動を展開していた。 区長はＸ（旧ツイッター）で「公共の安全を確保するため」と中断理由を説明しつつ「極右は歓迎されない」と書き込み、中断命令が政治的動機に基づいていることを示唆した。 会合の主催団体が