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【今週はこれを読め! SF編】『地球の長い午後』ばりの異様な世界で、環境と性をめぐるテーマが展開される - 牧眞司|WEB本の雑誌
愛琉(アイル)は熱帯雨林に暮らす少女。森のなかには数え切れないほどの生物がうごめき、さまざまな危... 愛琉(アイル)は熱帯雨林に暮らす少女。森のなかには数え切れないほどの生物がうごめき、さまざまな危険が潜んでいる。人間は生態系の頂点ではない。成長の過程で多くの子どもが命を落とす。かつてこの森には科学技術による〈巨人の櫓〉〈巨人の橋〉が建造されたが、どちらも遺棄されて久しく、愛琉たちには目的も使用法もわからない。一族は樹上に家屋につくり、長手袋と下降器を身につけ枝から枝へと跳んで果実を集める。一人ひとりが嗅覚特化生物モールを連れており、それが臭跡をたどって道案内をする。 愛琉はもう〈巡り〉を〈合わせる〉ことが許される歳となった。あとはその時期を待つだけだ。森に灯りが見え、〈巡りの者〉の一行がしだいに近づいていることがわかる。そう考えると胸がときめく。 異様で生命に満ちた樹林、かつての文明を失い細々と生きる人間たち、成熟のときを迎えた主人公......。ブライアン・W・オールディスの傑作『地球
2015/03/11 リンク