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米国で議論を呼んだノンフィクション『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』が4月、産経新聞出版から発行され、波紋を呼んでいる。 発売直前に「原著の内容はトランスジェンダー当事者への差別を煽る」として、書籍の出版中止を求め、発行元の産経新聞出版や複数の書店に放火予告までされるなど、大騒動に発展。一部の大手書店の店頭には置かれず、ネット上では「言論弾圧だ」との声も上がった。 本書の監訳者であり、精神科医の岩波明氏はあとがきで「現在のトランスジェンダーの問題は、差別と少数者の権利擁護の側面ばかりがクローズアップされているが、本来は医療の問題だ」と述べているように、これまでは精神医学や性科学の側面から扱われることが少なかった。 そこで今回は、本書の内容に関して性別不合(性同一性障害)の治療に多く携わる精神科医の針間克己氏はこの問題をどう捉えているのか、詳しい話を
だれしも死ぬときはあまり苦しまず、人生に満足を感じながら、安らかな心持ちで最期を迎えたいと思っているのではないでしょうか。 私は医師として、多くの患者さんの最期に接する中で、人工呼吸器や透析器で無理やり生かされ、チューブだらけになって、あちこちから出血しながら、悲惨な最期を迎えた人を、少なからず見ました。 望ましい最期を迎える人と、好ましくない亡くなり方をする人のちがいは、どこにあるのでしょう。 *本記事は、久坂部羊『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです。 <本日 4月27日 今日だけ限定のセール実施中!> 本記事の抜粋元『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書)が、 今日限定でKindleで399円で購入できます! 購入はこちらから 人気の死因、一位はがん 死ぬのは仕方ないとして、ではどんな死に方がいいのか。 富士氏のように知らないうちに死ぬのがベストかもしれませんが
「伝家の宝刀」とも呼ばれる解散権。しかし扱い方を間違えば、その刃は総理自身も傷つけることになる。多少議席が減ろうが構わない─そんな身勝手な解散戦略が、「自民党崩壊」の引き金になる。 前編記事『【完全予測】落選する「裏ガネ議員」全実名を大公開…!岸田の「6月ヤケクソ解散」で自民党がボロ負けする【東日本編】』より引き続き、選挙予測を見ていく。 世耕弘成が「近大パワー」で自民党に逆襲 裏ガネ問題では自民党と一線を画した公明党だが、悪影響は避けられない。関西では日本維新の会の勢いに押され、大阪では軒並み落選が予想される。 「北側一雄元幹事長は定年の内規で地盤の16区を、参院議員の山本香苗に譲ったが、現時点で維新、立憲の候補に引き離されて3番手(立憲調査)。元幹事長の地盤でもこの有り様なので、他の選挙区は推して知るべしです」(地元記者)
大人気ドラマ「あぶない刑事」が、いま人気再燃しているという。しかも、当時をよく知る中高年だけではなく、若者からも人気というから驚きだ。実際、5月に公開される最新作の公式本『帰ってきた あぶない刑事OFFICIALビジュアルBOOK』も発売前から重版がかかるなど、売れ行き絶好調だという。 「あぶない刑事」といえば、舘ひろし演じる鷹山敏樹(通称タカ)と柴田恭兵演じる大下勇次(通称ユージ)の最強バディ・タカ&ユージが、横浜を所狭しと暴れ回る80年代刑事アクションドラマだ。最新作「帰ってきた あぶない刑事」の公開も控え、いまなお愛され続ける刑事ドラマの金字塔が“人気爆発”しているワケを探ってみた――。 映画「帰ってきた あぶない刑事」©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会。「さらば あぶない刑事」から8年。最強バディ、伝説のあの2人が帰ってきた! 今、昭和が熱い! このところテレビではか
若者たちの怒り 中国では、若者の失業率が高止まりしており、就職難が際立っている。 前編「いま中国で「無差別殺傷事件」が続発している!「暴走車が人をはねる」「幼稚園や学校を襲撃する」…習近平「報復社会」の最悪な未来」でもお伝えしたように、中国では今、暴走車が市民をはねる事件が相次いでいる。 日本で起きた「秋葉原通り魔殺人事件」(7人が死亡)を彷彿とさせるような事件ばかりで、多数の人を標的にした襲撃事件は「報復社会(社会への報復)」と呼ばれている。
技術的には実現可能なところまできている 開幕まで1年を切った大阪・関西万博において、目玉の一つとされているのが「空飛ぶクルマ」だ。高度な技術力の結晶であり、一般客にサービスとして提供できるようになれば100年に一度の交通改革となる、とさえ言われている。万博でお披露目となればそのインパクトは強烈なものになるだろう。しかし一方で、実現に向けては厳しい声が飛び交っている現実もある。 大阪の老舗タクシー会社である「大宝タクシー」は、タクシー会社として「空飛ぶクルマ」事業に唯一参画している企業だ。'22年に「そらとぶタクシー株式会社」を設立し、1台約7億円の機体を50台分購入する契約を結ぶなど、準備を進めてきた。 同社の舵取りを行うのは、双子の寳上(ほうじょう)卓音さんと寳上和音さん。現在30歳の若手経営者である二人は、万博での実現を目指す「空飛ぶクルマ」の現状についてこう明かす。 「すでに国内で高
老後2000万円問題が叫ばれて久しい。しかし、生活水準を落としたくないのであれば「2000万円でも足りない」。政府の経済的支援を当てにすることもできない。現代日本ではサラリーマンであっても資産を形成することが求められている。そんな人は会社を買おう。もしあなたが一般的なサラリーマンならば、既に会社を経営するノウハウを自然と身に着けているのだ。 本連載では、平凡なサラリーマンが会社を購入し成功した例を紹介しながら、具体的に「どうやって資本家として成功するのか」を『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(三戸政和著)から一部抜粋して紹介する。 『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』連載第11回 『「“普通の”サラリーマン」こそが中小企業を成長させる...20代の元サラリーマンが実現した「思いもよらない」成功とは』より続く 挑戦する若者たち 私の「サラ3サ
米国ニューヨークの名門コロンビア大学で事件が起こっている。イスラエルのガザ侵攻と、それを支援するアメリカ政府に抗議する学生の集団が、キャンパスにテントを張り、いわば座り込みをする運動を始めたのである。これに対して大学側が警察による取り締まりを要請し、100人以上の逮捕者が出た。学生グループはあらためてキャンピングを始めた。警察との小競り合いが続いている。他方で、この学生たちの動きは、ハーバード大学など他の米国の有力大学にも波及している。 ガザ危機の問題の射程が、世界の知のあり方の問題になっていることを示す動きである。ガザ危機が、単なる地域紛争や、民族自決の問題ですらなく、世界的な思想戦となっていることを、われわれも知っておかなければならない。 コロンビア大学は、もともとリベラルな校風が特徴である。1960年代末にもベトナム反戦運動で大きな学生運動が起こった。私自身はコロンビア大学に2002
株を買って保有することで、その企業が利益の中から株主に分配する「配当金」によって利益を得る「配当株投資法」。この投資法を具体的に解説した著書『新NISAで始める!年間240万円の配当金が入ってくる究極の株式投資』が話題になっている配当太郎さんに、多少株価が下がってもガッチリ保有を続けたい「4つの業種」の銘柄を解説いただいた。 「ゴリラ握力」で持ち続けたい注目の4業種とは? 「稼ぐチカラ」+「安定感」+「実績」のある企業を選ぶ基準として、私は第1弾の著書『年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資』の中で、次の4つの着眼点を紹介しました。 (1)参入障壁が高い4業種(銀行、商社、通信キャリア、保険)の企業 (2)業界の第1位か第2位の企業 (3)市場シェア3割以上の企業 (4)利益率が高い「ストック型ビジネス」の企業 こうした基準を満たす企業は、その多くが日本を代表するような有名企業で
138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか? 本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。 宇宙は何でできているのだろう? 「宇宙は何でできているのだろう?」。この根源的な疑問に、大昔からたくさんの人が思いを巡らせました。 古代ギリシャの哲学者たちは、この宇宙、つまり太陽や地球といったものが、何でできているのかを考えました。この宇宙は、火、水、土、空気でできていると考えた人もいましたし、どんどんと細かくしていくと、これ以上分割できないとても細かい粒に行きつくはずだと考えた人たちもいました。 中でも古
「万博反対の者」の犯行って言ったけど 「玉川徹氏の『出禁発言』に続いて、ヤバいことになりそうだ」 大阪府の幹部はこう言って頭を抱える。吉村洋文知事の「失言」だ。 ことの発端は、3月13日、大阪市役所の正面玄関に飾られていた2025年の大阪・関西万博公式キャラクター、ミャクミャク像の顔が鉄製の看板で傷つけられているのが発見されたことだった。大阪市は警察に被害届を提出し、捜査がはじまった。 その際、吉村知事は3月14日の記者会見でこう語った。 「万博に対して反対であっても、暴力行為は控えてほしい」 「(犯人は万博に反対する人である)可能性は高い」 「ミャクミャクは万博の象徴的なキャラクター。意図的に故意に傷つけられた。万博に否定的な意見を持っている人ではないか」 ミャクミャク像を傷つけた犯人が「万博反対の者」と断定するかのような発言を繰り返したのだ。そしてX(旧ツイッター)でも、ミャクミャクの
世界トップクラスの地位と報酬が約束されたゴールドマン・サックス。だがその実態は、金と女性に対するおそるべき強欲、嫉妬にまみれた職場だった――。 同社の元マネージング・ディレクター(上位8%の幹部職)の女性が1998~2016年の在職期間に目撃した、ミソジニー(女性嫌悪)と人種差別にあふれる、堕ちた企業風土を明らかにする衝撃の暴露本『ゴールドマン・サックスに洗脳された私』から、1998年の研修初日の強烈な体験をお届けする。 巨額の退職金を捨てて、秘密保持契約書(NDA)へのサインを拒否。同社の内幕を告発する道を選んだ彼女の回顧録を読み進めるうちに明らかになる、金融資本主義の欺瞞と、その背後にある差別的な思考とは? ウォール街の仲間入りをした日 エレベーターのドアが開くと、黒や紺のスーツを身にまとった大勢の人が、広いロビーで談笑していた。床から天井まである大きな窓からは陽光が燦々と降りそそぎ、
習い事や家族旅行は贅沢?子どもたちから何が奪われているのか? 低所得家庭の子どもの約3人に1人が「体験ゼロ」、人気の水泳と音楽で生じる格差、近所のお祭りにすら格差がある……いまの日本社会にはどのような「体験格差」の現実があり、解消するために何ができるのか。 注目の新刊『体験格差』では、日本初の全国調査からこの社会で連鎖する「もうひとつの貧困」の実態に迫る。 *本記事は今井悠介『体験格差』から抜粋・再編集したものです。
研究の場を海外に置き、国際的に活躍したいと願う研究者とその家族をサポートしているNPO法人ケイロン・イニシアチブが、今年設立5年目を迎える。NPOでは、日本の研究者の留学に帯同する家族・パートナーを対象とした助成金制度や情報のプラットフォーム提供などを行っている。 諸外国に比べて研究力が相対的に低迷していると言われている日本の研究者の現状や課題について、理事長の足立春那さん(以下春那さん)と副理事長の足立剛也さん(以下剛也さん)ご夫婦に話を聞いた。(取材・文:高村由佳) 設立のきっかけは研究者家族の窮状 ー NPO法人ケイロン・イニシアチブは2019年9月に設立認証され、今年で5年目を迎えています。どういったきっかけで、始められたのでしょうか? 春那さん:2018年から夫の海外赴任で、家族でフランスに2年間住んだことが、大きなきっかけです。 夫は医師で研究者でもあるのですが、当時は研究者と
ポイント「7%還元」の破壊力 ポイント生活を楽しんでいる人にとっては、衝撃の事態が起きそうです。 楽天とペイペイの二強に、最大のライバルが登場しそうなのです。 前編「ポイ活に大激震!ペイペイ・楽天に殴り込んだ「新・Vポイント」の「還元率」にマジ驚いた…コンビニから新NISAまで「新たな経済圏誕生」の予兆」で紹介したように、三井住友グループの新しい経済圏が台頭します。 Tポイントは4月22日から三井住友カードのVポイントと統合し、新たに青と黄色のVポイントが誕生します。その新たな経済圏で行われているのが、SMBCグループにおけるVポイントの大盤振る舞いサービスです。 三井住友のカードをスマホに格納すれば、セブンイレブンとローソンで利用するたびにVポイントが7%も還元されるようになるのです。
ペイペイのポイント生活に走った「激震」 ポイント大好きな日本人にとっては想定外の激震が起きるかもしれません。 ポイント経済圏の業界序列が変わるかもしれないのです。 日本最大と言われるのが「楽天ポイント」経済圏で、「もっとも活用するポイント」という切り口で調査をすると、日本人の3分の1が楽天経済圏に囲い込まれているようです。 一方で「キャッシュレスでの利用頻度」で調査をすると、「ペイペイ」経済圏が強みを発揮します。直近の調査では、すべてのキャッシュレス決済の中でペイペイは楽天カードを抜いてトップになりました。 ちなみに「SUICA」などの交通系カードは、キャッシュレスでは3位です。 そのどちらにも所属していないけれど一定の存在感があるのが、NTTドコモの「dポイント」。スマホの加入者数でドコモが最強だということを背景に、ちゃっかりと利用者を確保しています。直近ではアマゾンとポイントを共通化す
「終わりのない成長を目指し続ける資本主義体制はもう限界ではないか」 そんな思いを世界中の人々が抱えるなか、現実問題として地球温暖化が「資本主義など唯一永続可能な経済体制足りえない」ことを残酷なまでに示している。しかしその一方で、現状を追認するでも諦観を示すでもなく、夢物語でない現実に即したビジョンを示せる論者はいまだに現れない。 本連載では「新自由主義の権化」に経済学を学び、20年以上経済のリアルを追いかけてきた記者が、海外の著名なパイオニアたちと共に資本主義の「教義」を問い直した『世界の賢人と語る「資本主義の先」』(井手壮平著)より抜粋して、「現実的な方策」をお届けする。 『世界の賢人と語る「資本主義の先」』連載第3回 『襲い掛かる「GDPショック」…しかし多くの日本人が知らない、「GDPが国の豊かさを示せない」理由』より続く 尺度探し GDPの限界を踏まえ、経済規模ではなく生活の質や幸
日本文化はハイコンテキストである。 一見、わかりにくいと見える文脈や表現にこそ真骨頂がある。「わび・さび」「数寄」「まねび」……この国の〈深い魅力〉を解読する! *本記事は松岡正剛『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』(講談社現代新書)の内容を抜粋・再編集したものです。 日本を支配するフィクション カレル・ヴァン・ウォルフレンに『日本/権力構造の謎』(早川書房)という二冊組の本があります。ウォルフレンはオランダの新聞の極東特派員をながく務めて、「フォーリン・アフェアーズ」の1986~89年の冬号に書いた「ジャパン・プロブレム」が評判になったので、これを機に本格的に日本の権力構造の歴史と現在にとりくんだジャーナリストです。 ウォルフレンの言う「ジャパン・プロブレム」とは、80年代の日本に疑問をぶつけたもので、自動車をはじめとする日本の輸出品の優位がアメリカの怒りを招き、いわゆる
また懲りずに血税5兆円を…!? 国策「日の丸ジェット」の見果てぬ夢に「エリート官僚」たちが固執する「大ひんしゅくの理由」 次の投入額は「ケタ違いになる」 「YS-11以来、約40年ぶりの日の丸旅客機」との経済産業省の甘言に乗せられた三菱重工業が約1兆円の資金を溶かした末、ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を断念してからわずか1年余。国の出資金500億円を棄損させた経産省が性懲りもなく「日の丸ジェット機」開発の国策プロジェクトに再び動き出し、霞が関や市場でひんしゅくを買っている。 伊吹英明局長(1991年旧通商産業省)率いる製造産業局が公表した新たな「航空機産業戦略」は、旧MRJ失敗の原因を「1社単独開発による限界」や「政府の支援不足」などと勝手に総括。「貴重な教訓」(同局幹部)を学んだ三菱重工に加え、川崎重工業やIHIなど航空宇宙メーカー、水素エンジンを開発する自動車
なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか? 張り紙が増えると事故も増える理由とは? 飲み残しを放置する夫は経営が下手? 10万部突破のベストセラー『世界は経営でできている』では、東京大学史上初の経営学博士が「人生がうまくいかない理由」を、日常・人生にころがる「経営の失敗」に見ていく。 勉強のよくある失敗 〈歴史や法律などの一般に暗記科目と呼ばれるようなものでも、分厚い用語集をはじめから終わりまですべて暗記してしまおうとする人がいる。しかし用語集には無味乾燥な解説が並ぶ。こんなものを暗記できる人の方がどうかしている。根性で必死で食らいつく。本当に、文字通り、ヤギ顔負けに用語集を一ページずつ食べながら、メェメェ鳴きながら用語を覚えていく人もいる。 そうまでして暗記しても試験では点数が取れない。負けるか、とばかりにますます細かい用語を暗記するがいつまでたっても結果は出ない。こうして日本史・世界史
想像を絶する速度で進化を続けるAI。その存在は既存の価値観を破壊し、あらゆる分野に革命をもたらしている。人知を超えるその能力を前に、人類はどう立ち向かうべきなのか。 それぞれの分野の最先端を歩む“ノーベル賞科学者”山中伸弥と“史上最強棋士”羽生善治が人間とAIの本質を探る『人間の未来AIの未来』(山中伸弥・羽生善治著)より抜粋して、新時代の道標となる知見をお届けする。 『人間の未来AIの未来』連載第27回 「阿倍野の犬実験」という落とし穴 山中 僕が大学院生のとき、先生に教えてもらった忘れられない言葉があるんです。僕がいた大阪市立大学医学部は大阪市の阿倍野区にあるんですね。僕たちの研究室は実験動物としてビーグル犬などを使っていたんです。その当時、助教授、今で言う准教授の先生に「山中君な、『阿倍野の犬実験』って知ってるか」と聞かれました。「何ですか、それ?」と答えたら、こんなふうに説明してく
『週刊現代』の特集第3章『グルコサミンに話題の「NMN」も…ダマされるな!「飲んでも効かないかもしれないサプリ」の「全リスト」』より続く。 「ネフロン」に負担がかかる 「紅麹問題」がきっかけで、サプリが腎臓をいためることに注目が集まった。しかし、そもそもなぜサプリの摂取が腎臓にダメージを与えるのか。 埼友クリニック外来部長で腎臓専門医の高取優二氏はこう解説する。 「腎臓は、血液を濾過して老廃物や余分な水分を尿として体外へ排出する機能を担っています。血液から濾された老廃物が『原尿』となり、その後、尿細管を経て尿として体外に排出されます」 問題は、特定の成分を過剰に摂取すると、腎臓に多大な負荷がかかることだ。 「推奨量や腎機能の値を無視し、サプリを摂取し続けていると"過剰"な状態となる恐れがあります。そうなると腎臓の重要な構造の一つであるネフロンに負荷がかかります。ネフロンは血液を濾過して尿を
初回から伊藤沙莉投入で手堅く発信 4月1日にスタートした朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)が3週の放送を終えて全容が見えてきた。 ここまでの視聴率は、ほぼ近年の朝ドラ並みで、数字としては無難なスタートと言っていいだろう。その背景には、「朝ドラ恒例の子役を使わず、初回から主演の伊藤沙莉を登場させて本題に入った」というプロデュースの妙がある。 ただこれは裏を返せば、視聴者が様子見のスタンスを取る子役時代がないことで、「早々にはっきりとした賛否の声を呼んでいる」ということ。日本女性で初めて法曹界に飛び込んだ三淵嘉子さんがモデルの骨太な物語だけに、制作陣が真摯に向き合い、丁寧に撮られた作品であることは間違いないだろう。 しかし、その一方で早くもXでは連日“#虎に翼反省会”のハッシュタグが飛び交い、辛らつな声も少なくない。序盤からこのような声を招いた主な原因は4つあり、『虎に翼』の成否を左右しそうなムー
「新型コロナウイルスは風邪のようなもの」と思い始めた人も多いだろう。 しかし、決してそうではないことが最新研究から明らかになりつつある。 新型コロナウイルスがほかのウイルスと異なる「きわめて厄介な性質」とはどんなものなのか。 【※本記事は、宮坂昌之・定岡知彦『ウイルスはそこにいる』(4月18日発売)から抜粋・編集したものです。】 新型コロナウイルスは持続感染をするのか 最新の研究で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、流行を繰り返すありふれた風邪ウイルスとは異なる、きわめて厄介な性質を持つことがわかってきた。このウイルスがいったんからだに取り付くと、簡単には追い出せないことがあり、持続感染や潜伏感染を起こす可能性があるというのだ。 先に説明したとおり、新型コロナウイルスはからだの免疫をまぬがれるいくつもの仕組みを持つ。また、ウイルスに対していったんできた中和抗体が時間とともに減少
「終わりのない成長を目指し続ける資本主義体制はもう限界ではないか」 そんな思いを世界中の人々が抱えるなか、現実問題として地球温暖化が「資本主義など唯一永続可能な経済体制足りえない」ことを残酷なまでに示している。しかしその一方で、現状を追認するでも諦観を示すでもなく、夢物語でない現実に即したビジョンを示せる論者はいまだに現れない。 本連載では「新自由主義の権化」に経済学を学び、20年以上経済のリアルを追いかけてきた記者が、海外の著名なパイオニアたちと共に資本主義の「教義」を問い直した『世界の賢人と語る「資本主義の先」』(井手壮平著)より抜粋して、「現実的な方策」をお届けする。 『世界の賢人と語る「資本主義の先」』連載第1回 資本主義の定義とは 本論に入るにあたり、まず、最も基本的な用語の定義から始めたい。それは、本書の主題である「資本主義」という言葉がそもそも何を指すのかだ。資本主義という用
2014年セウォル号沈没事故の船長・船員たち まず、2014年のセウォル号沈没事故とはどのようなものであったのかについて見てみる。 例えば、AFPBBニューズ 2014年4月17日「『愛してる』『また会おう』、沈没する韓国船から届いた生徒らの声」が一つの象徴であろう。 このような状況の中で、乗客を置き去りにして、船長や船員がさっさと避難したことは強い非難の的になった。その結果、産経新聞 2015年4月28日「控訴審で船長に無期懲役判決 殺人罪認める 他14人の乗務員は全員減刑」となったのも当然といえよう。 この事故に限らず、船長(リーダー)・船員(幹部)が「最後の責任」を持つことが「組織のモラル」を維持するために必要不可欠である。船長(リーダー)が責任をとらない船(組織)に乗り合わせた乗客(従業員、組織の構成員)は不幸としか言いようがない。 また、リーダーの最も重要な仕事は「(最後の)責任
「正義」という言葉はどうにも扱いが難しい。言葉を使う人によって「正義」がもつニュアンスが違ったり、そのことによってすれ違いが起きたりするからだ。 正義という言葉に関連して、いまの日本でしばしば耳にするのは、たとえば「正義の暴走」や「正義は人それぞれ」といった表現である。こうした表現は、「正義」という概念を厳密に考えてきた研究者の目には、どのように映るのか。 このほど『今を生きる思想 ジョン・ロールズ』を上梓した学習院大学教授の玉手慎太郎さんが、政治哲学から見た「正義」について、いくつかの角度から語る。 日本での「正義」のイメージ ——「正義の暴走」という言葉が使われているのをときどき見かけます。 たとえば、コロナ禍のさい飲食店などの営業自粛を求めて攻撃をおこなう「自粛警察」があらわれましたが、これは「正義の暴走である」と言われました。 政治哲学や倫理学をご専門とする玉手さんからは、「正義の
4月23日が「本を贈り合う日」ということを知っていますか。 この日はサン・ジョルディの日と呼ばれ、もともとスペインのカタルーニャ自治州の伝統的な祝日とされています。 日本でも「子ども読書の日」として定められているこの日に、大切な人に大好きな本を贈ってみてはいかがでしょうか。 今回は、書店員として働きながら活躍されているお笑い芸人・カモシダせぶんさんに、サン・ジョルディの日に贈りたい本について教えてもらいました。 紙で読みたい本がある お笑い活動だけで食っていけてないので書店で12年間働いている、どれだけ食えてないんだ。売れてなさすぎだろ。と思うと共に結構な年数書店で過ごしてきたなと感慨深くもなる。この12年の間で読書の形も変わってきたのを肌で感じていて、電子書籍の台頭、特にコミックでの電書ユーザーの数は爆発的に増えた。 コミックじゃなくても、出版社の電子書籍サイトで一般書が格安セールで読め
「お金を稼がなくても生きていける世界はつくれるのか?」――。こんな資本主義経済の“急所”をつくような大胆な問いに、いま果敢に挑むプロジェクトがある。「ハートランドプロジェクト」と呼ばれるものがそれで、「哲学×ブロックチェーン」で贈与経済をアップデートしようとする試みだ。 発起人は慶応義塾大学文学部教授の荒谷大輔氏。哲学・倫理学の専門ながら、冒頭の問いを机上の空論では終わらせずに、ITエンジニアやプロジェクトマネージャーなどさまざまな専門家を巻き込みながら社会実装を進めている。 実は今春から、東京・高円寺と石川・白峰の2拠点でトヨタ財団の支援を受けた「贈与経済2.0」の実証実験が始まる。前回、前々回の記事では「贈与経済2.0」の仕組みを見てきたが、では、「お金を稼がなくても生きていける世界」が実現するとき、実際にそれはいったいどういう世の中になるのか――。著書『贈与経済2.0』(翔泳社)から
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