江戸時代に流行した、男女の性風俗の様子を描いた浮世絵である「春画」。その世界一のコレクターが、日本に居を構えるイスラエル人であることは、まったくと言っていいほど知られていない。 来日して約30年のオフェル・シャガン氏は、1万2000点以上の春画を所有する蒐集家であり、これまでに国内外でさまざまな春画展を開催してきた古美術研究家でもある。 なぜ春画に魅せられたのか? 奇想天外なコレクションを見ながら、春画の独創性について語ってもらった。(全2回の1回目/続きを読む) 春画コレクターのオフェル・シャガンさん ©文藝春秋(撮影:志水隆) ◆◆◆ ――すさまじい数の春画に圧倒されます。しかも、多種多様というかトリッキーな表現の春画も多く、驚きます。 シャガン 春画はとても面白いです。たとえば、私が好きな作品の一つに、愛していた夫を亡くした妻が、彼のお墓を抱きながら張型を付けて自慰にふけっている春画