■研究書にはなぜ引用が多いのか 「自分の頭で考える」ことの大切さは、いろいろなところで盛んに説かれています。それは大変結構なことなのですが、「自分の頭で考える」ことは決して「独り善がりになる」ことではないことに気をつけなければなりません。 例えば研究書を読むと、「○○氏は『……』と言う。また××氏は『……』と言う。」という風に、他人の意見がたくさん引用されています。末尾の注を見ても、その引用文献の多さに驚く人も多いでしょう。 自称「研究家」の中にはこれを見て、 「学者は他人の意見ばかり受け売りして、自分の頭で考えていないではないか。師匠に可愛がられたいばかりに、その言うことを鵜呑みにしているに違いない」 と非難する人もいます。 しかし学者が他人の学説を引用するのは、決して他人のふんどしで相撲を取りたいからではありません。研究したい問題について、今までどんな学説が発表されていて、それぞれにど