なぜ、説明責任を果たさないのか。なぜ、メディアは沈黙を続けているのか。重苦しい空気を払いのけるため、大手テレビ局の現職法務部長は筆を執った。丹念な取材から、「木原事件」の真実に迫る。【取材・文/西脇亨輔】 前半記事『東大法学部時代の同級生・テレビ朝日法務部長が緊急寄稿「木原誠二君、遺族の慟哭を聞きなさい」…テレビ、新聞が沈黙を続けるワケ』より続く 刑事が遺族に語った「音声データ」を入手 夏の夕暮れの熱気に包まれて都内の住宅街を歩くと、片隅に団地が浮かび上がってきた。その一室が種雄さんの実家だ。 遺骨は今も埋葬されず居間に置かれている。若すぎる遺影を前に、母は涙ながらに私に語った。 「お腹を痛めて産んだ子です。独りで冷たい地面の下に入れるわけにはいかない。自分が死んだ時に、種雄と一緒にお墓に入れてください」 種雄さんが亡くなる前日、家出していたX子氏が帰ってきた。やっと家族が揃ったその翌日に