児童養護施設に入所する子どもらのスマートフォンの所持を巡り、厚生労働省が昨年10月、各施設に国などが分配している「措置費」と呼ばれる予算から端末代や通信料を支出してもよいとする指針を文書で示した。以前から禁止はしていなかったが、新型コロナウイルス禍で教育のオンライン化が加速したことなどを受け、国として初めて明確に方向性を示した形だ。この指針を受け養護施設での所持率は一般家庭の所持率に近づくとみられるが、国が新たに予算を分配するわけではなく、現場は対応に四苦八苦している。(共同通信=大村響) ▽「クラスで持ってないのは自分だけ…」 岡山県内の児童養護施設で生活する県立高2年の男子生徒Aさんはスマホを持っていない。不所持はクラスでも1人だけだ。特に困るのは、部活動などの急な予定変更に対応できないことだという。「休日に予定されていた練習が、急きょ中止になることがある。部員のみんなはグループライン