輸送機などで兵員を輸送し降下させる空挺部隊は登場以来、数々の奇襲攻撃などで活躍してきました。ときには戦車も空から降下させますが、なぜ「空から戦車」という手法が編み出されたのでしょうか。 空挺部隊の弱点を補うための戦車 敵の背後に空から降下し、不意を突き、瞬く間に拠点を制圧――飛行機やヘリコプターを使って兵員を運ぶ「空挺部隊」は、広範囲での作戦行動が可能で、奇襲効果も高いのが特徴です。ただ、兵士がそのまま降下する制約上、その装備には制約があります。 とはいえ、小さな携行火器しか使えないと、敵の地上部隊と正面から戦闘するにはかなり不利です。そこで過去には空挺部隊と一緒に戦車を運んで、一気に問題を解決しようと、「空挺戦車」なるものが考え出されました。 拡大画像 M551「シェリダン」(画像:アメリカ陸軍)。 空挺作戦が頻繁に行われるようになった第二次世界大戦序盤、降下手段はパラシュートしかなく、
乗りものニュースが開催した「旧日本軍『奇跡の現存車輌』特別公開 in 御殿場」のトークショーでは、公開車両の解説のほか、日本で遅れているという防衛技術系博物館の現状が紹介されました。日本はまだ「追いつける」と識者は強調します。 世界最初の戦車登場から、すぐアプローチした日本 2024年4月21日、乗りものニュースは公式イベント「旧日本軍『奇跡の現存車輌』特別公開 in 御殿場」内において、軍事・歴史ライターの宮永忠将さんと軍事ライター・イラストレーターの吉川和篤さんを招き、スペシャルトークショーを行いました。 拡大画像 イベントで勢ぞろいした戦前生まれの貴重な車両。手前から九五式小型乗用車、九五式軽戦車、九五式軽戦車改造更生戦車(乗りものニュース編集部撮影)。 今回のイベントでは、NPO法人「防衛技術博物館を創る会」(以下:創る会)協力のもと、同会が所有する旧本軍で使用された九五式軽戦車(
乗りものニュースは2024年4月21日、公式イベント「旧日本軍『奇跡の現存車輌』特別公開 in 御殿場」を開催。いずれも戦前生まれという3つの車両が初めて一堂に会し、すべて「動き」ました。 3台が一緒に展示されるのは今回が初めて 乗りものニュースは2024年4月21日、公式イベント「旧日本軍『奇跡の現存車輌』特別公開 in 御殿場」を、静岡県御殿場市の「御殿場高原 時之栖」で開催。応募した67人(親子連れの未成年者2人含む)が参加しました。 拡大画像 九五式軽戦車が急きょ稼働。拍手が巻き起こった(乗りものニュース編集部撮影)。 今回はNPO法人「防衛技術博物館を創る会」(以下:創る会)の協力を得て、戦前生まれの車両が公開されました。旧日本陸軍で使用された九五式軽戦車(通称:ハ号)、九五式小型乗用車(愛称:くろがね四起)、そして戦後の国土復興用に九五式軽戦車の車体を転用して造られた九五式軽戦
自衛隊の90式戦車とも弾薬の互換性が生まれます。 プロトタイプの製造数は8両 イギリス国防省は2024年4月18日、最新戦車「チャレンジャー3」のプロトタイプ8両のうち最後の1両が、メーカーであるRBSL(ラインメタル・BAEシステムズ・ランド)の生産ラインからロールアウトしたと発表しました。 このタイミングに合わせ、グラント・シャップス国防大臣は生産現場を訪れ、関係者と面会したそうです。 拡大画像 RBSLの工場でロールアウトした「チャレンジャー3」戦車のプロトタイプ(画像:イギリス陸軍)。 「チャレンジャー3」は、既存の「チャレンジャー2」をベースに大幅なアップグレード化を施すことで調達される主力戦車で、すでに2021年5月にはRBSLとイギリス陸軍とのあいだで148両の「チャレンジャー2」を「チャレンジャー3」へ改修する契約が締結されています。 最大の特徴は、約60年にわたってイギリ
T-90Sの改造車両とされる。 地雷対策用のローラーやスラットアーマーを装備 ウクライナ国防省は2024年4月17日、ドローン攻撃で破壊したなかで珍しいタイプの戦車の動画を公式X(旧Twitter)で公開しました。 拡大画像 本来は輸出用のT-90S(画像:インド国防省)。 攻撃を行ったのは、第116領土防衛旅団のドローンオペレーターのようで、放棄されたT-90戦車のハッチに向かって手榴弾を投げ込んでいました。 この車両はウクライナメディアの報道によると、戦場でもなかなか見ないかなり珍しいタイプの車両とのことです。 ベースはT-90の海外輸出専用車両であるT-90Sで、その車体にさらに対戦車地雷除去用のローラーや、対ドローン用のコープケージのほか車体を覆うスラットアーマ、さらに同じくドローン対策などのために電子戦システムも備えていたそうです。 本来輸出用であったT-90Sが前線に投入されて
映画にもなった『ぼくらの七日間戦争』の作者、宗田 理さんが亡くなりました。同作品の映画は、劇中に登場した「角川61式」戦車が有名ですが、実はこの戦車レプリカ、最近も“稼働”しています。 やたら目立っていたが原作では未登場! 『ぼくらの七日間戦争』から始まる「ぼくらの」シリーズの作者である作家の宗田 理さんが、2024年4月8日に亡くなっていたことが、4月16日に報じられました。95歳でした。 拡大画像 2019年にヨルダンの博物館へ貸与されることになり船積みされる直前の61式戦車(画像:防衛装備庁)。 同シリーズといえば、俳優、宮沢りえさんの映画デビュー作で、1988年に公開された映画『ぼくらの七日間戦争』が有名です。 同作での宮沢さんの存在感については語りつくされた感がありますが、劇中で宮沢さん演じる中山ひとみが「エレーナ」と命名したレプリカの陸上自衛隊61式戦車もインパクトを残していま
遅いというわけではない? 砲塔だけではなく車体も装甲で覆う!? ウクライナ国防省のオフィシャルメディアである「アーミーインフォーム」は2024年4月9日、ドネツク州のクラスノホリヴカ集落近くを走行する“亀戦車”を発見したと発表しました。 拡大画像 亀戦車のベースになったといわれるT-72戦車(画像:ロシア国防省)。 亀戦車とは、自爆ドローンや爆弾投下する無人偵察機への対策のため、戦車の砲塔だけではなく、車体の部分も前面以外を装甲で覆っている改造車両です。亀の甲羅のように見える形状から、そのように呼称しているようです。 ホルティツィア作戦戦略グループが公開した偵察ドローンによる動画では、T-72もしくはT-90と思われる戦車4両が移動しており、先頭の1両のみが車体の大部分を覆う追加装甲で守られていました。なお、後続の3両はドローン対策としてはお馴染みとなった、砲塔上面への攻撃(トップアタック
1916年、英国の技師ウィリアム・トリトンは新しいタイプの戦車を設計する。彼がそれを設計したのは、第1次世界大戦の戦場で機械化戦に登場したばかりの戦車が直面した、最大の脅威から乗員を守るためだった。当時、戦車にとって最大の脅威は大砲だった。 そうして誕生したのが「フライング・エレファント」である。この戦車はいわば、砲を備え、最大で厚さ76mmの鋼板に包まれた、頑丈なトラクターだった。車体横にだらりと垂れたように張られた装甲が象の耳のように見えることから、この名前が付けられたらしい。 それから108年後、ロシアの創意ある技師たちは少なくとも1両の戦車を改造した。彼らがその改造を施したのは明らかに、ウクライナの戦場で戦車が直面している最大の脅威から乗員を守るためだ。最大の脅威というのはもちろん、この戦争で機械化戦の新たな主力として台頭してきた、爆薬を積んだ小型ドローン(無人機)である。 ロシア
わずかでも隙間があればドローンに侵入されてしまうようです。 戦車の車内にまで侵入する自爆型ドローン ウクライナ国防省は2024年3月5日、自爆型ドローンがロシア軍の新鋭戦車T-90Mの車内に侵入し、撃破する映像を公開しました。 拡大画像 ロシア軍のT-90M戦車(画像:ロシア国防省)。 公開された映像では、自爆型ドローンがT-90M戦車の砲塔上部にあるハッチから車内に侵入。その後爆発し、炎上させています。T-90M戦車はハッチが空いた状態になっており、すでに放棄された車両の可能性があります。わずかな隙間からドローンを侵入させるウクライナ軍のドローンオペレーターの技量の高さが伺えます。 T-90Mは、2021年からロシア軍に引き渡しが開始された新鋭戦車で、「プラルィヴ」という愛称を持ちます。出力1130馬力の新型ディーゼルエンジンを搭載し、T-90から砲塔形状を一新しているのが特徴です。現在
やっぱりパレード専用? 機能的に優れる しかし高すぎる! ロシア国営メディアであるメディアである「RIAノーボスチ」は2024年3月4日、同国の最新鋭主力戦車であるTー14「アルマータ」がウクライナの戦場に投入されない理由について高すぎるコストに問題があると報じました。 拡大画像 走行テストを行うT-14「アルマータ」(画像:ロシア国防省) 同戦車の開発・製造を担うウラルヴァゴンザヴォートを傘下に置く国営企業ロステックのセルゲイ・チェメゾフ事務局長は、RIAノーボスチの取材に応じ、「『アルマータ』は既存の戦車よりも機能的には優れている。しかし高すぎる。T-90を買う方が簡単だ」と述べたそうです。 報道によると、ロシアは2022年2月から続くウクライナとの戦闘のため、なるべく安価に新しい兵器を大量に揃える必要性があり、基本形はT-72をベースに開発されているため、低コストに抑えられるTー90
スウェーデンが誇るステルス艦、ビスビュー級コルベット艦 Military Channel J/YouTube <ロシアの侵攻を想定して営々と築いてきた軍事力には他国にない特徴がある。一例が、浅海で活動できる潜水艦やステルス性能を持つコルベット艦だ> スウェーデンがNATOに加盟申請をしたのは2022 年5月。ハンガリーが最後まで難色を示していたが、同国議会が加盟を承認し、21カ月に及んだ長い待機期間がようやく終わった。 これでNATO加盟国は32カ国となる。拡大を促したのは、2022年2月に始まったロシアによる本格的なウクライナ侵攻だ。フィンランドとスウェーデンの加盟申請には、ウラジーミル・プーチン大統領はじめ、ロシアの閣僚らが脅迫じみた牽制発言を繰り返してきた。 ロシアと約1300キロにわたって国境を接するフィンランドのNATO加盟が2023年4月に確定し、さらに今回その隣国のスウェーデ
ほぼ純国産パーツに? 電子システムを全て国産化 トルコの防衛企業であるアセルサンは2024年2月12日、近代化されたM60T主力戦車の納車式を行い、最初の2両をトルコ陸軍に引き渡したと発表しました。 拡大画像 納車式の様子(画像:アセルサン)。 M60Tは元々イスラエル製の輸出用主力戦車「サブラ Mk.II」で、2007年にトルコが購入した際に自国向けに名称変更した車両となっています。 今回の改修では、火器管制システムが国産化され、これによりM60Tの電子システムの全てから海外依存がなくなったとのことです。 この改修は陸軍の要請により行われ、2022年7月4日に防衛産業大統領府とアセルサンの間に、プロジェクトの契約が締結されました。 近代化プロジェクトでは戦車の火器、防御、通信システムの改善が図られ、追加装甲や乗員シートなども国産化されています。この改修により、同車両はパワーユニット以外は
火力だけなら74式戦車や16式機動戦闘車と同レベル。 すでにパレードにも参加済み GDELS(ゼネラル・ダイナミクス・ヨーロピアン・ランド・システムズ)は、このたびフィリピン陸軍に対する「サブラ」軽戦車の運用に関する最初の訓練を無事終えたと発表しました。 これは、1月29日から2月9日にかけて、ルソン島中部タルラック州にあるキャンプ・オドネルにおいて行われていた一連の訓練で、フィリピン陸軍第1戦車大隊に所属する将兵に対して実施したものです。 拡大画像 2023年12月21日に行われたフィリピン軍創立88周年記念式典で行進する「サブラ」軽戦車(画像:フィリピン陸軍)。 フィリピン陸軍は第2次世界大戦後の1958(昭和33)年9月にアメリカ製のM4「シャーマン」戦車を主体とした第1戦車大隊を編成したものの、維持整備コストの高騰などからわずか3年で同部隊を廃止し、以後はイギリス製「スコーピオン」
装甲や照準などが新型に。 2023年に発表された新しいタイプ ロシアの国営企業であるロステック傘下のウラルバゴンザヴォードは2024年2月14日、アップグレードされたT-80BVM主力戦車を納入したと発表しました。 拡大画像 パレードに登場するT-80BVM(画像:ロシア国防省)。 T-80BVMはT-80BVの改良車両となっており、製造を担当したのは、ロシアのオムスク市に拠点を置く国営企業のオムスクトランスマシュです。 今回アップグレードされたT-80BVMは2023年陸軍軍事フォーラムで発表されたタイプで、新たな爆破反応装甲が搭載され、乗員保護が向上しているとのことです。また、自爆ドローンのトップアタック対策用に、砲塔部分に屋根型のモジュールである「コープケージ(鳥かご装甲)」が追加されています。 主砲である125mm砲と動力であるGTD-1250ガスタービンエンジンも改良されており、
乗りものニュースが御殿場で初開催となるミリタリーイベント『旧日本軍『奇跡の現存車輌』特別公開 in 御殿場』を開催します。レアな旧日本軍車両を間近で見て、体感できるイベントです! 2次募集受付終了! 旧日本軍『奇跡の現存車輌』特別公開 in 御殿場 ※当選結果のお知らせは【2024年3月22日(金)】以降を予定しております ◆◆◆御殿場で集結「日本で1台だけの激レア車」たち◆◆◆ NPO法人 防衛技術博物館を創る会が保管する超絶激レアな車両たちを、今回は特別に公開します。エンジン始動や可動部の動作展示、一部車両の走行なども実施予定。すべての車両が日本に1台しかないものであり、そろってお披露目になることは滅多にないことで希少イベントとなります。 当日は関係者による車両解説も行われるので、激レア車両を知る良い機会です。イベントは有料参加概要欄を確認の上、参加応募をお願いします。 【展示予定車両
【ロンドン=黒瀬悦成】英政策研究機関「国際戦略研究所」(IISS)は13日、世界の軍事情勢をまとめた報告「ミリタリー・バランス」の2024年版を公表した。ロシアのウクライナ侵略に関し、両国の損害が甚大となる一方で、ロシアが塹壕戦を展開するなど戦況が膠着(こうちゃく)状態に陥ったと指摘。インド太平洋地域では中国が戦力投射能力を拡大させ、台湾への圧力を一層強めているとした。 報告によると、ロシアは22年の侵攻開始時点で現有兵力として保有していた主力戦車の総数に匹敵する2900両以上の戦車を戦闘で喪失した。損失を補うため、旧式で性能が劣る数千両の退役戦車を現役に戻し前線に投入した。ロシアは現在も多数の退役戦車を保管しており、今後も戦車を失い続けたとしても、向こう約3年間は補充が可能と分析している。 対するウクライナはこれまでに、ロシアが侵攻当初に占領した領土の約50%を奪還した。ただ、大半は22
2024年に入り、ウクライナへ新たな「ゲパルト」自走対空砲が供給されました。誕生から50年以上も経過した旧式兵器が好まれる理由はどこにあるのでしょうか。 旧式車両がまさかの活躍 2024年1月3日、ドイツはウクライナへの支援として、新たに「ゲパルト」自走対空砲3両と、対空機関砲用砲弾3万発を送ったと発表しました。同車両はウクライナがロシアの侵攻を受けた直後、2022年4月に50両が供給されたのを皮切りに、ドイツ以外の国からも含め、何度か引き渡されています。 拡大画像 ゲパルト自走対空砲(画像:KMW)。 実は、ウクライナとロシアの戦いが始まるまで、同車両は時代遅れの兵器とみなされていました。1973年に配備が開始されたもので、基本設計は50年以上前の車両です。ドイツでは2010年に退役しており、当初はドイツがウクライナ支援をアピールするための供与といわれたことも。 しかし実戦投入されると、
自衛隊の90式戦車とも弾薬の互換性が生まれます。 主砲以外にも手が加えられ、顔つきも変更 イギリスの兵器関連企業RBSL(ラインメタル・BAEシステムズ・ランド)は2024年1月23日、イギリス陸軍向けに開発を進めている新型戦車「チャレンジャー3」の新たな画像を公開するとともに、公式WEBサイトなどで進捗状況について説明を行いました。 RBSLによると、これから数週間以内に「チャレンジャー3」の試作1号車が試験を開始するそうです。 拡大画像 RBSLが新たに公開した「チャレンジャー3」戦車の試作車。これまで公開されていたものとは防盾形状などが変わっている(画像:RBSL)。 「チャレンジャー3」は、既存の「チャレンジャー2」をベースに大幅なアップグレード化を施すことで調達される主力戦車で、すでに2021年5月にはRBSLとイギリス陸軍とのあいだで148両の「チャレンジャー2」を「チャレンジ
米国製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車は、いうまでもなく戦車ではない。主に戦場での歩兵の輸送を用途とした車両である。 だが、乗員に相当な技量があり、少しばかりの運も手伝えば、30t、11人乗りで砲塔に25mm機関砲とTOW対戦車ミサイル、側面に爆発反応装甲を備えたM2は、ロシア軍最高の戦車に対して互角以上の戦いができる。 これは誇張ではない。ウクライナ北東部アウジーイウカ近郊で最近あった小競り合いで、米国からおよそ200両供与されたM2を運用するウクライナ軍唯一の部隊である第47独立機械化旅団のM2は、2両でタッグを組み、ロシア軍のT-90戦車と交戦した。そしてそれを撃破したのだ。 Bradley IFV of the 47th Brigade of Ukraine engages in a battle with Russian T-90M, Avdiivka front. (Bradley
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