(梅田望夫『シリコンバレー精神』ちくま文庫、2006年8月、文庫のための長いあとがき) 「シリコンバレー精神」とは/そのときグーグルは何をしていたのか/未来を創造する営みが水面下で続けられていた歴史/起業家主導型経済にバブルやモラルハザードの発生は必然/「シリコンバレー精神」だけがメカニズムを補強できる/活況を呈したシリコンバレーでまたバブルが起きるか/「シリコンバレー精神」でモノを書く/「二〇〇一年秋から二〇〇六年夏」のこと/その後の私
梅田望夫(うめだ・もちお)/1960年生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。東京大学大学院情報科学修士課程修了。97年にコンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを設立。パシフィカファンド共同代表、はてな取締役も務める。著書に『シリコンバレー精神』『ウェブ進化論』など。ブログは My Life Between Silicon Valley and Japan ――インターネット世界の急激な変貌と、現実社会への影響を読み解いた前著『ウェブ進化論』は37万部のベストセラーになりました。新著はウェブの新しい現象を紹介するのではなく、その時代をどう生きるかについて描いています。なぜ『ウェブ進化論2』を書かれなかったのでしょうか。 『ウェブ進化論』を発表した後、多くの編集者から、「一つのカテゴリーを創造しましたね」と言われました。確かに、ウェブに関するテクノロジーを解説した本は新書だけでも大量に出版
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こんなことをアナウンスできる日がこんなに早く来るなんて思っても見なかった。今日は本当に嬉しい日だ。このアナウンスが、今後のはてなにとってどのくらい大きな意味を持つかは、ネットビジネスのプロ筋の人達には説明の必要もなかろう。 Richard ChenのHatena Inc.取締役就任に関するお知らせ Richard Chenは、Hatena Inc.に参画する前は、2002年より約5年間にわたり、Google社シニアビジネスプロダクトマネージャーとして、日本市場戦略立案・事業構築についてのGoogle米国本社サイド責任者として指揮を取り、2007年1月にGoogleを退社しました。 僕が初めてRichに会ったのは、2003年5月のことだった。Googleがまだ500人くらいで、日本法人をさあこれから立ち上げるぞ、という時期だった。以来、Richは、急成長するGoogleの中心人物の一人として
「はてな」で梅田望夫さんと お目にかかる。 表札に「?」と描いてあり、 それだけ。 そのあたりから予感がしていたが、 中に入るとおもちゃ箱がひっくりかえった 大学院生部屋のようだった。 「これは何ですか?」 「お菓子の棚です。」 「これは何ですか?」 「サーバーですよ。」 「えええ! これがですか。」 素っ頓狂な声を上げてしまった。 ごろんと床の上に置かれている。 「こう見えててもなかなか スルドイ技術的な工夫がしてあって ですねえ。この冷却のためのファンが 回転すると、空気が下から上にちゃんと 流れるようになっているのです。」 普通の「オフィス」の感覚から すると、色が溢れていて、関係の ないものがあふれている。 「ふふふ、最近、畳のスペースを 導入したので、仮眠しやすくなったのですよ」 あれれ。 空間が、遊び心のつぶつぶに満たされている。 最初はとっても 驚いたが、「はてなはやっぱりそ
ウェブ人間論 梅田 望夫 / 平野 啓一郎 梅田望夫と平野啓一郎の対談集である「ウェブ人間論」を読了した。基本的な感想は、この書籍の元になった新潮に対談が掲載されたときに「新潮6月号の梅田望夫×平野啓一郎の対談を読んで」にもすでに書いたし、ここやここでは平野啓一郎本人が登場するというハプニングがあったことも記憶に新しいところだ。その後に平野はほんとうに公式ブログを開設したりもした。これら一連のできごとは、とても楽しいものだった。 だけど、いやだからこそ、この件を引っ張る形でこれ以上書評を続けると知人友人ばかり持ち上げる内輪やらせブロガー的なダークサイドに堕ちてしまう気がするので、この機会に大きく踏み外してみようと思う。 ぼくが今の今まで注意深く避けてきた、グーグルの技術論について、この機会にとうとう語ってしまおうと思う。 ■「過去7年におけるグーグル成功の最大の要素は『運』だった」(Se
「強制する装置を一切持たないにもかかわらず,オープンソース組織はきわめて高い生産性を達成している。Googleは営利企業でありながらオープンソース組織を内部に取り込むことで技術者の力を最大限に引き出している」---9月1日,都内で「ウェブ進化論」の著者である梅田望夫氏と,ミラクル・リナックス 取締役CTOの吉岡弘隆氏が対談イベントを開催した。 オープンソースの勃興に立ち会う このイベントは梅田氏の著書「シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土」(筑摩書房)の刊行を記念したもの。この「シリコンバレー精神」は,梅田氏が2001年に著した「シリコンバレーは私をどう変えたか」にその後のシリコンバレーの変化を追記して文庫化したものだ。オリジナルの舞台は1996年から2001年夏にかけてのシリコンバレーである。勃興するベンチャー企業,ネットバブルの到来と崩壊。その中で自らも独立しコンサルティング
私たちが同時代として生きている「一九七五年から二〇二五年までの半世紀」(私個人の場合は、十五歳から六十五歳までの五十年)は、百年先にどう総括されるのだろうか。 むろんさまざまな切り口での総括の一つとしてではあるが、「情報技術(IT)が世界を大きく変えた時代」と総括されることは間違いなかろう。 素人ながら思想・哲学の歴史をひもとけば、次世代に大きな影響を及ぼした偉大な思想・哲学の多くが、激しく変化する同時代の最先端で、同時代の意味を、また同時代をいかに生きるべきかを必死に考える営みから生まれてきた。その営みの途中経過は、同時代にはそれほど理解されず、その意義は歴史の判断に委ねられるため、評価の定着はかなりあとになる。 「一九七五年から二〇二五年までの半世紀」も、既に最初の三十年が過ぎている。半導体の発明に端を発するパソコンの誕生、チープ革命の継続、インターネットの発展、オープンソースの
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