「早くぼくを去勢しろよ、藤木くん」 永沢は言った。 放課後の教室はがらんとしていて、いつもより広く感じられる。教室にいるのは永沢と藤木だけだった。廊下側の窓が西日で黄色く光って、二人の若い肌を照らしていた。 「去勢だよ。チンポを切断するんだ」 永沢は下半身を露出していた。脱いだズボンとブリーフは、近くにある学習机の上に、きっちりと四角くたたまれて置かれていた。まるで売り物のような丁寧さであった。 「な、なんでそんな事しなきゃならないんだよぉ……」 藤木は震える声で言った。 永沢は無言で、無表情だった。 窓は開いていて、やわらかい風が流れこんできていた。風が通るたび、汗ばんだ首筋がひやりとなる。窓にかかったカーテンがふわりと持ち上がり、またしぼむのをくり返していた。 パンツが置かれたとなりの机には、ハサミと消毒液、新品のカッターナイフが二本、それと包帯が置かれていた。明らか