2000年、24歳で性犯罪被害にあった女性の実名手記。心身がどれほど傷つき、対人関係がどれほど損なわれるか……といったことがリアルに描かれる。同時に恋、友情、家族との関係なども盛り込まれ、青春小説の趣もある。著者は表紙にも登場。 出版社:朝日新聞社 僕は正真正銘の男であり、犯罪被害と呼べるようなひどい事件や、PTSDを発症するほどのひどい事故に遭ったこともない。僕が性犯罪被害に遭った女性の気持ちを完璧に理解することは不可能だ。だからこの本に記された内容には完璧に理解できないかもしれない。 だがそれでも、僕はこの本を読んで胸をえぐられる思いがした。それはここに記されている内容のすべてがあまりに生々しいからだろう。 著者は道を聞かれたところを、車に連れ込まれ、レイプされる。 その親切心を利用されて襲われてしまう際の描写や、事件当日の様々な忘却の様子、その後の恐怖心、小さなポケットティッシュで体