料理研究家 土井善晴 きょうは「家庭料理と旬」について、お話しさせていただきます。 みなさまにおいては、日本の秋を楽しんでおられますか。 8月に入ればすぐに立秋、この日を境に暑さも さかりをすぎて、陽射しが和らいで 秋に向かいます。 現実には、9月になっても暑いですから、秋はまだまだ遠く感じられるもの。季節を楽しむことなどできない、というのが本音ではないでしょうか。 それでも9月になりますと、実りの秋、稲穂は こがね色に染まり、やがて新米の季節です。 9月の半ばになりますと、栗のイガもはぜて実を落とす。山の茸も楽しみになります。掘り立てのジネンジョをとろろにして、麦飯にかけるおいしさはたまりません。 旬は、夏のなごりの なすやトマトから、芋やこんさい、地面のしたの作物に変わっていくのがわかります。 夏の間、ハート形の葉を ゆらしていたのは里芋の仲間。 根を掘れば、親芋に小芋、孫芋がいっぱい