ブックマーク / note.com/yuyu2000_0908 (5)

  • 研磨が繋ぐボールと東京体育館とスクリーン|末次由紀

    春が時々夏の顔を見せる4月。みなさんお変わりありませんか。 毎年気温が20℃を超えてくると、騙されてうっかり衣替えをしてしまうんですが、日には梅雨があって長袖を全部しまうと後悔することを今年の私は知っています。まだですよ。まだ長袖は必要です。 季節を捉えるのが下手な私は、2024年2月16日に公開された映画を4月中旬に見るという、あいかわらずギリギリな映画鑑賞ライフを送っています。漫画の締め切りをクリアして、ハッとして調べたら、冬に買っておいた映画の前売り券がまだ使われずに残ってる! 「劇場版ハイキュー!」をやっと見てきました。 漫画「ハイキュー!!」の音駒戦(33 - 37巻)が劇場版アニメとなっているのですが、なんのダイジェストも人物紹介もなく、日向翔陽と狐爪研磨の出会いから始まるスクリーン。合宿に積極的に向かうでもなく「暇つぶし」とゲーム機をいじる研磨。バッグをあさってタブレットを

    研磨が繋ぐボールと東京体育館とスクリーン|末次由紀
  • 「読んだ人が元気になるような本にしたいんです」|末次由紀

    大小の爆弾を飲み込まされたような1月です。みなさんお変わりありませんか。「お変わりありませんか」なんて、こんな呑気な言葉だってもう言えないくらい、ほんとうは泣き出したい。そんな思いの皆さん、あなたの肩をさすりたい。 今日はとても忙しい日で、私にしては珍しく三件も予定があり、3時間ごとに電車を使って街を移動する火曜日でした。 昨日一旦書き終わったアナログのイラストを出版社に持っていかなければならなくて、なのに大きなイラストを入れる書類ボックスが見つかりません。 折れ曲がったら困るものを持ち歩くために、サイズの合わない紙袋と段ボールをどうにか探して手に持って歩きます。人とぶつからないように、ドアに挟まれないように、化粧室に忘れてこないように、大切に持ち歩く紙袋。 出版社に着いて、編集さんに絵を一旦受け取ってもらおうと顔を上げた時に「末次さん、大丈夫ですか」 と言われ、ぐわっと泣きそうになりまし

    「読んだ人が元気になるような本にしたいんです」|末次由紀
  • 最終回のちはやふる|末次由紀

    思うにほとんどの漫画は、漫画家が個人的に発見した「これ面白い!」から始まっているものです。 それは偶然発見したものだったり、経験して感じ取ったものだったりするのですが、「これ面白い!」「面白いコレが、まだ世界に知られてなくない?」という気づきがスタートです。 下書き多くの場合はその『個人的に見つけた面白さ』に共感した編集者と一緒になって、あーでもないこーでもないと構成を考え、資料を集め、取材をして深め、祈るような気持ちで旅を始めるのですが… 主戦ペン入れちはやふるの場合はその流れが逆でした。 「競技かるたを長年やっていた担当編集者」が、漫画家にその面白さを伝えるところから始まりました。 担当さんは「競技かるたの漫画をいつか誰かに描いて欲しくて講談社に入社した」と言っていて、 そんなことある??というようなその志望動機が私を始めに動かしました。 そこから私はさまざまな「これ面白い!」に出会い

    最終回のちはやふる|末次由紀
  • 人生には(ときどき)集中線が必要だ|末次由紀

    まずは私の夫が突拍子もなく送ってきたLINEを見て欲しい。 なんだこれは… 絵をパッと見て国語の便覧だというのはわかるが、夫が何を言いたいのかよくわからない。絵をまじまじと見る。マルのところが一番目立つ。 首…? 私にはこう見えた。御簾の向こうに体があって変な姿勢してる絵。国語の便覧でそんなことあるわけないのに。 そしてまたよく見たら、首を切られて血が噴き出してる貴族がいた。 おちゃらけた格好をしてるとか言ってる場合じゃない、とんでもない場面の絵ではないか。 「集中線をつけるべき」 『集中線』とはつまり、漫画でよく見る迫力や驚きを表すための放射線状に描かれた線。映画でもドラマでもアニメでもない、漫画イラスト独自の技法である。 集中線さえあれば、私と夫がしたような誤解はしない。つまりはこうだ。 ちがう。これではまだ「変なカッコで小学生並みにふざけてる人が発見された」と伝わってしまい、便覧が

    人生には(ときどき)集中線が必要だ|末次由紀
  • アルシュ紙の中心で好きを叫ぶ|末次由紀

    消しゴムは嫌いだけど白い紙に線を描くのは好きだ。 紙の上に山を作るような、谷を作るような、下塗りの作業が好きだ。 浮き上がるように花にグラデーションを施すのが好きだ。 着物の地の赤を丁寧に塗り塗りするのも好きだ。 「織るよりは楽なはず」と唱えながら細かい柄を書き込むのも好きだ。 髪の毛がくれる躍動感を信じて書き込む瞬間も好きだ。 艶やかな球体がこの奥にあるのだと信じて光らせる瞳の描写も好きだ。 初めて描く蓮の花の難しいグラデーションも好きだ。 刺繍みたいになって欲しいと願いながらペンで描き込みむ二匹の蝶も好きだ。 着物の柄にホワイトで縁取りを入れ、髪の毛にホワイトを入れるのが好きだ。 印刷ではきっと出ないラメの入った絵の具でなお豪華になるように花びらを描き込むのが好きだ。 隠し味の色鉛筆の出番も好きだ。 細部まで誰かに見てもらえる日が来ても来なくても、お絵描きが好きだ。 BE LOVE7月

    アルシュ紙の中心で好きを叫ぶ|末次由紀
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