ある土曜日の昼下がり。喫茶店でコーヒーを片手に男2人で意味のない時間を過ごしていた。 あまりにも意味がなさすぎて、紙ナプキンで綺麗な鶴を折ったくらいだ。 始まりはあまりにも唐突な一言から始まった。 「そいや、おれ、ちっさい夢があって、短くてもいいから友達と暮らしてみたいんだよね。どうよ?」 少年の心を取り戻す 毎日の仕事にも慣れ、仕事を程よくこなし、金曜の夜には仲間と飲みに行き、休日は部屋でアニメを観るか小説を読む。 朝起きて、英語の勉強をしていたのも、今では遠い昔の話。 冥王星が惑星ではないと分かった時くらい遠い昔の話。 いつからだろうか。 心が跳ね上がるような、遠足前の夜みたいな、好きな子との初デート前みたいな、ドキドキしてワクワクして待ちきれないような気持ちを失ってしまったのは。 繁華街をまっすぐどこの店にも入らずに、ただただ、まっすぐ歩き抜いてしまうような。心が惹かれるままに寄り道