(天井から舌を出して平太郎を舐める老女の顔 と 勝手に動く唐臼) ※左奥の障子の向こうに見えるのが唐臼。 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 十四日の夜は、裏なる唐臼《からうす》、我と我が一人、臼 搗《つ》きける。 平太郎是を見て、誠に白げざる米を臼壺に入レ置きしに、明くる日迄も臼搗事止まざりけれど、米は白げもセで有りしとなり。 替わりたる事ども也。 此の夜、更《ふ》けて後なりしが、平太郎が臥したる上の天井一面に老女の顔となりて、やがて長き舌を出し、蚊帳《かや》を貫き、臥したる平太郎を舐《ねぶ》りしが、取り合ひもせで、其の侭《まま》寝《いね》しに、後は次㐧/\に消へ失せしとなり。 勇氣なる事ども也。 【現代語訳】 十四日の夜は、裏にある唐臼が、一人で勝