新型コロナウイルスの感染拡大を引き金に、世界各地で発生したトイレットペーパーの「買いだめ騒ぎ」を覚えている人も多いのではないか。かつてオイルショック時にも同じことが起きたが、なぜ人は他人にメーワクをかける「買いだめ」の誘惑から逃れられないのか? マーケティング&ブランディングディレクターで、著書『9割の買い物は不要である』がある橋本之克氏が、行動経済学の見地から解説する。 世界中で起きた「買いだめ騒ぎ」 さかのぼれば約半世紀前にも、人々が狂ったようにトイレットペーパーを探しまくる現象が、日本中で起こりました。1973年のオイルショック時です。イスラエルとアラブ諸国とのあいだで第4次中東戦争が勃発し、中東の産油国が原油価格を70%引き上げたことが始まりです。 当時の中曽根康弘・通商産業大臣が紙の節約を呼びかけると、人々は過剰な不安を感じ、トイレットペーパーを買おうと店頭に殺到しました。 時が