仮想通貨の取引を担う交換業者が、事業からの撤退を決める例が相次いでいる。ずさんな資金管理やリスク対策の甘さが指摘され、コストをかけて態勢を整えることを断念している。緩い規制で業界の育成を優先してきた金融庁は、業者の数を絞って規制を強化する方向へ転換している。 「仮想通貨を取り巻く情勢変化に対応する万全の態勢を整えることが難しい」。交換業者のビットステーション(名古屋市)は4月末、ホームページで事業撤退を公告した。3月に幹部が顧客資産を私的に流用していたことが発覚し、金融庁から業務停止命令を受けた。出直しも検討したが、断念した。 同社は、金融庁への登録申請中だが営業は認められてきた「みなし業者」の一つ。同じみなし業者のコインチェック(東京)で1月、約580億円分もの仮想通貨の不正流出が起き、金融庁はみなし業者全16社へ立ち入り検査した。 その結果、顧客資産の流用や、犯罪組織によるマネーロンダ