新潮社 『 Foresight 』2006年5月号より転載。見出しは「歳をとらないアフガンの女性」。「アフガンの女性は歳をとらないのよ」と、女性問題省のマスーダ・ジャラル大臣が言ったことがある。自慢でも冗談でもない。アフガン人女性の平均寿命は四四歳。つまり、歳をとる前に死んでしまうという現実を彼女は話したのだ。 二〇〇一年九・一一の後、米同盟軍の攻撃によってタリバンが追放され、アフガン女性が解放された、そして彼女たちはブルカを脱ぎ捨てた、というのが、当時の報道が作り上げた典型的なイメージではないかと思うが、そのようなイメージは、対テロ世界戦争のサポートにはなっても、当のアフガン人女性の大多数にとっては何のことだか分からなかっただろう。 女性問題省大臣のマスーダ・ジャラルは、アフガン女性の境遇の改善には長期的なアプローチが必要であると主張している。彼女たちが直面している問題は、短命に終わった