刑事事件の容疑者を香港から中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐり、香港政府の林鄭月娥・行政長官は15日、緊急記者会見を開き、立法会(議会)での審議を無期限で延期すると発表した。一方、林鄭氏は改正案を「撤回しない」と強調。大規模デモなどで示された強い民意に一定の譲歩をした形だが、抗議運動が収まるかは見通せない状況だ。 香港政府は20日の改正案の採決を目指していた。林鄭氏は延期の理由として市民の意見が対立し警察と若者の衝突に発展したことなどを挙げ、「平穏な社会を取り戻したい」と述べた。 「(市民との)意思疎通が足りなかった」とも述べ、期限を設けずに市民や各団体から意見を聴取し改正案を修正する考えを表明した。議会での審議再開の時期については「年内は難しい」として、来年以降になるとの認識を示した。 林鄭氏の会見を受け、9日に「103万人」を動員するデモ行進を主催した民主派団