――『地図と拳』は選考会満場一致で山田風太郎賞も受賞されているし、読者からの前評判も高かったですよね。ご自身でも受賞の予感があったのでは。 小川 評判とかはあまり関係なかったです。ただ、書いた側の感覚として、受賞しても「びっくりした」というつもりはなかったという感じですね。直木賞の候補になった作品ってどれも面白いのが前提で、どれが直木賞のやり方のなかで強いか弱いかというだけだと僕は思っていて。で、今回の僕の作品はチャンスがあるんじゃないかな、とは思っていました。別に直木賞をとるために書いたわけではないんですけれど。 ――今回の会見でも、『ゲームの王国』で山本周五郎賞を受賞された時の会見でも、「ひとごとのように感じる」とおっしゃていました。それは、賞をとったからといって作品の中身が変わるわけでもないし、みたいなことでしょうか。 小川 そうなんですよね。昨日は友達から「すごい」「すごい」という