恋するがにまた がにまたが気になる。 韓国映画を見るたび、無意識に男優の脚を見る。そして、無意識にがにまたを探している自分に気づく。 もちろん映画の世界にがにまたで歩く人はいっぱい出てくる。日本の昔のやくざ映画なんかには、つくだ煮にできるぐらい大勢のがにまた集団が出てくる。だが私が探しているのは、それとは違う。 がにまたは、天然の美である。そういうがにまたがある。ファン・ジョンミンの出る映画を見ているとそれがわかる。 私だって自分が、こんなに男優の、しかもおっさんの脚をじろじろ見るおばさんになるとは思っていなかった。そうなったきっかけは、『傷だらけのふたり』(ハン・ドンウク監督、2013年)という映画だ。韓国映画によくある、一見野蛮だが実は優しい男の恋を描いたお話である。ラストではまたもや韓国映画らしく、その主人公が脳腫瘍で死ぬ。とネタバレまで書いてしまうのは、このエッセイでは映画の中身よ