「組織委員会の女性はわきまえているから話も的を射ている」という森氏の言葉に、居合わせた女性たちは笑ったと言いますが、それは男性優位社会において物事をスムースに運ぶための方法だったのだと思います。私自身も男社会のメディアでキャリアを築いていく中で、最初に与えられた仕事は男性司会者の横に座ってうなずく「アシスタント」で、男性に「従属」し「わきまえる」役回りでした。そこから自分の居場所を創り出すために私がとった作戦は、女性性を封印して男社会の一員であるかのように振る舞う一方で、「若い女性」として先輩の男性たちに可愛がってもらい、「自分はあなたたちを脅かさない」というサインを送るというものです。当時の自分の働き方を振り返ると、女性性を封印することも、男性社会に同化することも、あるいは女性性を売りにすることも、女性としての自然なありようを否定するもので、女性へのリスペクトを欠いていたと猛省しています