1980年に出た本で、今では新刊として手に入らない。 ぼくも図書館で借りて、その後、古本として購入したものである。 古本についていたオビが非常に要領よく本書の問題意識をまとめているので、そのまま紹介しよう。 昭和二十二年訓令によって廃止された町内会は、三月後にはその八割が復活した。アメリカが自国の自治の理念を日本に移植しようとした試みは成功したといえるのだろうか。内務省と占領軍民政局との間の交渉過程は、そのまま日米両国の社会構造と人間関係の規範の原理的差異を浮かび上がらせた。戦後史を通じて日蔭の位置にあった日本伝来の隣保組織のなかに、借り物ではない自治の可能性を虚心に探り求めた犀利な日本社会論。 占領軍が想定した地方自治を、英米型の地方分権モデルだとして独立した近代的個人が市町村レベルで地方政府を形成するというものだとしたうえで、「廃止」されてもなお残った町内会・部落会に良くも悪くも日本人