この本は梅棹先生の著作の中から刺激的な言葉を選び、そこに小長谷有紀氏が解説を付け加える、という構成になっています。この連載のテーマである「知的生産」に関係することばをその中からいくつか紹介してみます。 「なんにもしらないことはよいことだ」 なんにもしらないことはよいことだ。自分の足であるき、自分の目でみて、その経験から、自由に考えを発展させることができるからだ。知識は、あるきながらえられる。あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながらあるく。これは、いちばんよい勉強の方法だと、わたしはかんがえている。 これを逆から考えれば、「自分の足であるかず、自分の目でみない」ような経験では、自分の考えを発展させることはできない、とも捉えられます。 現代では情報は検索でいくらでも見つかるので、知識は瞬く間に蓄えられます。情報についての評価も他の誰かがやってくれていることも多いでしょう。しかし