初参戦のサッカーJ1で奮闘する町田のホームスタジアムには「天空の城」の異名がある。駅から遠い丘の上にある立地の悪さをやゆされたのが始まりだが、クラブは弱みを逆手にとったPRを展開する。世界観を徹底的に作り込むやり方は、プロスポーツクラブ経営で参考になりそうだ。(加藤健太) 町田GIONスタジアムはJR町田駅から北に約6キロの位置にあり、最寄り駅の小田急線鶴川駅からは直行バスで20分。徒歩で要する1時間はJ1の20クラブで最も長い。木々に囲まれた小道を進まなければならず、訪れた他クラブのサポーターから「登山」「秘境」と、からかわれてきた。 嘆いてもスタジアムは動かせない。ならば魅力的に見せようと、クラブはスタジアムを地域のシンボルの「城」に見立てたプロジェクトを2021年にスタート。「天空の城」と名付け、RPGやアニメに似せた世界観をつくり始めた。Jクラブで他に例がない取り組みという。