いささか唐突ではあるが、「日本人にロックはやれるのか」という問題について考えてみたい。むろん、いまの若い人たちにとってはナンセンスな話かもしれないが、ロックが日本に“輸入”されてきた当初は、それなりに切実な問題ではあったのだ。 たとえば、70年代の初頭、プロのミュージシャンたちの間で、「日本語ロック論争」なるものが起こったことがあった。発端は「新宿プレイマップ」および「ニューミュージック・マガジン」に掲載された座談会である。 文字数の関係で、詳細は省くが(興味のある方はネットなどで詳しく調べられたい)、要は、後者の座談会において、内田裕也がはっぴいえんどの「春よ来い」(引いては日本語のロック)は「歌詞とメロディとリズムのバランス」がうまく結びついていないと主張したうえで、そのはっぴいえんどのメンバーである大瀧詠一と松本隆に対して、英語で歌う自分たちをどう思うのかと詰め寄ったところ、松本隆が