東京電力福島第一原発事故後に福島県内の除染で出た汚染土の再利用に向けた実証事業が首都圏3カ所で計画されている問題。事業主体の環境省は既に2カ所で住民説明会を開催したが、参加者からは「周知が不十分」などと不満の声が相次いだ。対象を近隣住民に限定したことにも批判が集まる。そもそも必要性が疑問視される事業だけに「住民の理解」が欠かせないはずだが、最初のプロセスでつまずいた。(加藤益丈、梅野光春、鈴鹿雄大、小川慎一) 汚染土の再利用 福島県内の除染で回収された汚染土は、東京電力福島第一原発周辺の中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)に約1336万立方メートルが保管されている。国は土壌の放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土を公共工事などで再利用する方針で、総量の4分の3を占める。実証事業では花壇や芝生広場、駐車場などに利用し、覆土して露出しないようにする。汚染度の高い残りの土は2045年