私は、大学を卒業して三井金属に就職し、自動車用ドアロックの設計に従事した。 私が設計したドアロックが、クライスラーに全面採用されることが決まり、37才の時、デトロイト支店長に赴任した。クライスラーとは1000億円の契約を締結した。 1989年11月、デトロイトで開かれた「オート・ファクト・ショー」という機械展で、初めて光造形機(現在の3Dプリンター)に出会った。 3時間見ていて、設計だった私は、「この装置があれば、熟練した職人が2週間ほどかかっていたドアロックの試作が、一晩でできてしまう。このことを早く日本に知らせないと、職人に頼っている日本は負ける」と思い、その場で、17年間務めていた三井金属を退職する決意をした。 翌年の1990年4月に三井金属に辞表を出し、日本に帰った。40才だった。 1990年7月に(株)インクスを設立した。インクスは、世界で初めての3Dプリンターで試作を作るサービ