「これから開発されるような新薬がこのパンデミックに間に合う可能性はあまりないので、既存の薬の中で効くものがあるのか調べるのが大事です。日本政府は、インフルエンザの抗ウイルス薬、アビガン推しですよね。でも、プレプリントサーバ(論文が査読を受ける前の段階で公開するサーバ)に載っている論文(※1)を見てみると、最初は効くという話だったのに、アップデートされていて、結局は治癒には影響しないというふうに変わっていました。治癒には影響なくても、熱と咳は1.7日くらい早くおさまる、という結果です。今のところ単一群での報告ですから、きちんとした研究が必要ですね」 単一群というのは、まさに「薬を飲んだ人たち」だけを見ていて、「薬を飲まなかった」対照群を設定していない。前項でみた症例対照研究では、すでに起きたことを振り返る「後向き」の研究ながら、きちんと対照群を設けるものだった。 一方で、こういったアビガンで