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伊藤計劃の検索結果121 - 160 件 / 186件

  • 「おかしい」の先、「おかしくてかなしい」の更に先;『なめらかな世界と、その敵』のみの感想 - すやすや眠るみたくすらすら書けたら

    伴名練氏の短編『なめらかな世界と、その敵』が無料公開中(20年3月末まで。現在は序盤無料公開)だそうです。 ぼくは短編集を去年読んでから今に至るまで各作の感想を書いていますが、(本文7万字+余談3万字を書いても書きあがらない現状)ぜんぶ仕上がるまで待っていたら、無料公開が終わってしまう*1ので、この短編の感想だけさきにアップします。 2万字の感想です。そうです、この感想を読めるなら『なめ、敵』実作を読めちゃうよって文量です。ぜひ最初に貼ったリンク先で作品を読んでください。 ※伴名練著『なめらかな世界と、その敵』やその他言及作について、がっつり結末までネタバレした感想が続きます。ご注意ください※ 約言 ざっと感想と短編集他作への導線 序盤のあらすじ 感想 ▼、こそ;『なめ、敵』の一人称の語り口、並行世界をまたぐ語り手の意識 ▼「おかしい」定番;先行作『町かどの穴』の三人称の語り口、作品と著者

      「おかしい」の先、「おかしくてかなしい」の更に先;『なめらかな世界と、その敵』のみの感想 - すやすや眠るみたくすらすら書けたら
    • 【第53回星雲賞参考候補作】真顔でわけのわからないことを言え! 『SFプロトタイピング: SFからイノベーションを生み出す新戦略』より、小谷知也氏・樋口恭介氏を迎えた座談を全文公開|Hayakawa Books & Magazines(β)

      【第53回星雲賞参考候補作】真顔でわけのわからないことを言え! 『SFプロトタイピング: SFからイノベーションを生み出す新戦略』より、小谷知也氏・樋口恭介氏を迎えた座談を全文公開 小社より昨年6月に刊行した『SFプロトタイピング: SFからイノベーションを生み出す新戦略』(宮本道人監修・編著/難波優輝・大澤博隆編著)がこの度、第53回星雲賞ノンフィクション部門の参考候補作に選出されました(http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2022result.html)。選出を記念し、ゲストに「WIRED Sci-Fi プロトタイピング研究所」所長の小谷知也氏と、SFプロトタイピングの実践と普及に取り組むSF作家の樋口恭介氏を迎えた座談パート「現実とはフィクションである」を全文公開します。 合言葉は「真顔でわけのわからないことを言え」! リアルとフィクションを大胆に攪拌し、未

        【第53回星雲賞参考候補作】真顔でわけのわからないことを言え! 『SFプロトタイピング: SFからイノベーションを生み出す新戦略』より、小谷知也氏・樋口恭介氏を迎えた座談を全文公開|Hayakawa Books & Magazines(β)
      • 「感動」を求める人間を全力で刺しに来る異形の超怪作『わたしはあなたの涙になりたい』|nyapoona

        ガガガ文庫新人賞5年ぶり、満場一致の大賞受賞作にして「何故ライト文芸として出さないのか」と議論を呼んでいる四季大雅先生の『わたしはあなたの涙になりたい』を読みました。 感想としては、 とにかく歪で尖った、モンスター級の新人デビュー作であり怪作SF に尽きます。 「塩化病」という身体が塩になって死んでいく奇病により母親を失った少年と、母親から虐待を受けている少女の交流が主の話と書くと、ライト文芸でありがちな「キラキラ難病もの(死のリアリズムを排除したなんか綺麗な感じの難病で死んでいくヒロインとの恋愛を描いたライト文芸のジャンル)」に見えるし実際そうなんですが、恐ろしいのはキラキラ難病とそれに伴う「感動」を描く気があまり無くて、むしろそういった作品群で「感動」を期待する読者に思い切り冷や水を浴びせかけるつくりになっているところなんですね。 というのも、東日本大震災や東欧の侵略戦争といった巨大な

          「感動」を求める人間を全力で刺しに来る異形の超怪作『わたしはあなたの涙になりたい』|nyapoona
        • 初の短篇集とか創元日本SF叢書とか、最近読んでた日本SF - Close To The Wall

          大森望編『ベストSF2020』 宮内悠介『超動く家にて』 宮内悠介『カブールの園』 円城塔『シャッフル航法』 柴田勝家『アメリカン・ブッダ』 柞刈湯葉『人間たちの話』 宮澤伊織『裏世界ピクニック5』 宮澤伊織『裏世界ピクニック6』 藤井太洋『公正的戦闘規範』 高島雄哉『ランドスケープと夏の定理』 門田充宏『記憶翻訳者 いつか光になる』 門田充宏『記憶翻訳者 みなもとに還る』 松崎有里『イヴの末裔たちの明日』 久永実木彦『七十四秒の旋律と孤独』 石黒達昌『冬至草』 最近読んでた日本SF。溜めてたなかでも最近の作家多め。創元日本SF叢書はある程度フォローしておこうと思って読んだので、ここでデビューした作家の一作目はひとまず全部読んだかな。この記事を上げてすぐ新しいのが出るけれども。創元SF短編賞受賞作は年刊傑作選に載るのでそれを手始めに単行本を読んでいると、ハヤカワからデビューした作家は全然読

            初の短篇集とか創元日本SF叢書とか、最近読んでた日本SF - Close To The Wall
          • 早川書房はじめのひとくち|第1弾「伊藤計劃劇場アニメ化記念」五分で誤解(わか)る伊藤計劃

            若くしてこの世を去りながら、日本のSF新時代を拓いた伊藤計劃。彼が遺した長編は、『屍者の帝国』(公開中)、『ハーモニー』(11月13日公開)、『虐殺器官』(公開日未定)と、この秋続々とアニメ映画化されている。(公式HP http://project-itoh.com(外部サイト)) 伊藤計劃、その名前は聞いたことがある、しかしそのやけに壮大な枕詞に圧倒された……何だか難しそう……そう思ってしまったあなたにおすすめの、前島賢氏渾身のコラムで今こそはじめる伊藤計劃! 「彼は自分が去った後の世界に物語を残した、計画を残した」「僕たちは彼の計画した世界を生きる」「Project Itoh」……今年、2015年、そんなPVとともに、09年に34才の若さで世を去った作家・伊藤計劃によって書かれた三作の長編『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』が相次いで映画化されようとしていた……が、三部作の一作『虐

              早川書房はじめのひとくち|第1弾「伊藤計劃劇場アニメ化記念」五分で誤解(わか)る伊藤計劃
            • 「SFと百合が合わさったエモさが求められている」今、百合SFを読むべき理由【名作リストつき】 | 文春オンライン

              『週刊文春WOMAN』2019年夏号で百合マンガの現在について書いた。その取材中、頻繁に耳にしたのが、SFのサブジャンルのひとつ「百合SF」だ。 このジャンルが広く注目を集めたのは、2018年12月発売の『SFマガジン』で百合SF特集が組まれて以降。苦戦をしいられる文藝誌において異例の発売前重版&3刷を重ねた同誌を皮切りに、同誌掲載作を収録した『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』も好調な売れ行きをみせている。 百合SFを大特集した『SFマガジン』2019年2月号は創刊以来初の3刷に 2018年末に発売されて3刷を数えた『SFマガジン』百合SF特集号。表紙は伊藤計劃『ハーモニー』の装画(シライシユウコ画)を使用。溝口さんは、「品切れ中に年末年始を挟み、いい意味で飢餓感を煽った側面もあったと思います」と冷静に分析。ここからブームは始まった。 百合SFは異例の売り上げ 百合マンガ界唯一

                「SFと百合が合わさったエモさが求められている」今、百合SFを読むべき理由【名作リストつき】 | 文春オンライン
              • 【#三体ニュース】いよいよ発売! 翻訳・大森望氏によるあとがきを公開!|Hayakawa Books & Magazines(β)

                いよいよ劉慈欣『三体』が発売となりました! 話題沸騰、発売前に重版も決まった本作。本日の「#三体ニュース」では、本作の翻訳をつとめた大森望氏によるあとがきを公開します! 訳者あとがき 大森 望 たいへん長らくお待たせしました。現代SFの歴史を大きく塗り変えた一冊、劉慈欣(りゅう・じきん/リウ・ツーシン)『三体』の、中国語版原書からの全訳をお届けする。 小説のテーマは、異星文明とのファーストコンタクト。カール・セーガンの『コンタクト』とアーサー・C・クラーク『幼年期の終り』と小松左京『果しなき流れの果に』をいっしょにしたような、超弩級の本格SFである。 題名の「三体」とは、作中でも説明されているとおり、天体力学の "三体問題" に由来する。三つの天体がたがいに万有引力を及ぼし合いながらどのように運動するかという問題で、一般的には解けないことが証明されている(ただし、特殊な場合には解けることも

                  【#三体ニュース】いよいよ発売! 翻訳・大森望氏によるあとがきを公開!|Hayakawa Books & Magazines(β)
                • 伊藤計劃『ハーモニー』読書会レポ - 機械仕掛けの鯨が

                  レポ、という名のレジュメの再構成。 2018年度新歓読書会にて行った『ハーモニー』読書会に向けて作成したレジュメより。お蔵入りさせるのも忍びなかったので、なんとなく公開。実際の読書会では、参加者から「ハーモニーはセカイ系なんですか?」という質問が飛び、「じゃあまずキミのセカイ系の定義を教えてくれるかな?」などという問答をした覚えがある。ろくでもねえな。 作者について 伊藤計劃(Project Itoh) 1974年生まれ。2006年に『虐殺器官』が第7回小松左京賞最終候補となり、ハヤカワSFシリーズ Jコレクションより刊行されて作家デビュー。その後ゲーム『メタルギアソリッド4』のノベライズや書き下ろし長編『ハーモニー』、その他数本の短篇を残し、2009年3月に逝去。絶筆となった遺作『屍者の帝国』は同様の経緯でデビューすることになった盟友・円城塔によって引き継がれ、共著の形で2012年に刊行

                    伊藤計劃『ハーモニー』読書会レポ - 機械仕掛けの鯨が
                  • Nとはなんだったのか?攻殻機動隊 SAC_2045の考察と感想|たつ

                    はじめに 攻殻機動隊 SAC_2045を観終わりました。 久しぶりに考えさせられる物語を観たなぁ・・・って消化しながらいまnoteを書いています。 1984やマトリックス、一番感じたのは伊藤計劃のハーモニーの世界へのその後への賛辞を素直に感じました。 これを最新の3D映像で観れたことに本当に感謝です。 以下は感想とか考察をいろいろと書き連ねていきたいです。twitterで散々つぶやいたのですが、noteにも書いてみます。 僕自身攻殻機動隊の猛烈なファンではないので、気軽に読んでくれると幸いです。 舞台装置としての「1984」まずはジョージオーウェルの「1984」をオマージュしているのは明らかですよね。作中でも本が登場するくらいですから。二期以降はそのオマージュの広がりが明確になっていました。思想警察やら101号室、ビックブラザーが出てくるあたり、僕自身、熱くなりました。 戦争は平和なり 自

                      Nとはなんだったのか?攻殻機動隊 SAC_2045の考察と感想|たつ
                    • 戦争広告代理店〜わるもののつくりかた - 伊藤計劃:第弐位相

                      文庫落ちしたいまごろ読みました。遅すぎ。 実は、この題名自体、ある種の自己言及になっていることは、だれも書いてないみたい。本当にセルビア側は虐殺をやらかしたの?そもそも「被害者」ボスニア・ヘルツェゴビナ側はセルビアと同じようなことはしていなかったと言い切れるの(ハーグではとっくに結論されてますが、まあこの本の内容では)?そんな白黒曖昧な状況の中、人々が無意味に死にゆく混沌とした戦場を(フィクションとして、そしてそれを真実として)物語化してゆく作業を行う、ストーリーテラーのお話(いや、ドキュメンタリーではありますけど)。 どこらへんが自己言及的かというと(作者も気がついていないかも知れないけれど)、この中の一章に「民族浄化」という章がある。現地でWWIIのときに使われた言葉の英語訳「エスニック・クレンジング」。このことばが選ばれた経緯というのも非常に面白い(「ホロコースト」はユダヤ人にとって

                        戦争広告代理店〜わるもののつくりかた - 伊藤計劃:第弐位相
                      • ニック・ランドと新反動主義/木澤佐登志|棚橋弘季 Hiroki Tanahashi

                        未来への希望がゼロとなった状態を見通す、どこまでもダークでホラーな思想。 それなのに何故だろう。 暗い見通しを表現したものをとにかく好む傾向が僕にはある。 小説でも、音楽でも、映画でも、絵画でも、そして、こうした思想書でも。特にイギリス発のダークな作品はジャンルに関わらず、ずっーと以前から好きだ。 その意味で、この本もとても良かった。 木澤佐登志の『ニック・ランドと新反動主義』。 ペイパル創業者にして、Youtubeをはじめ、LinkedIn、Airbnb、 Space X、 Tesla Motorsといった錚々たる企業への投資を行う投資家であり、トランプ支援者であるピーター・ティールのリバタリアン的思想、暗黒啓蒙という思想の源泉となる思想を展開したカーティス・ヤーヴィン、そして、タイトルにもなっている加速主義的思想の父ともされるニック・ランドという、未来にシンギュラリティ的な暗い特異点を

                          ニック・ランドと新反動主義/木澤佐登志|棚橋弘季 Hiroki Tanahashi
                        • 「10年後何が起きても生き残る人」と「未来の不安で潰される人」の差

                          1989年生まれ。大学卒業後、IT企業でエンジニアとして勤務。開発者として多忙な日々を送るかたわら、2007年より、SF、サイエンス・ノンフィクションの書評ブログ「基本読書」を主宰。読者登録数は3700人超とファンが多い。これまでに読んできたSF小説は2000冊を超える。『SFマガジン』『家電批評』などでSFの書評を連載中。筆名の「冬木糸一」は、「終末」の文字をバラバラにして、再構築したもの。 ブログ:https://huyukiitoichi.hatenadiary.jp ツイッター:https://twitter.com/huyukiitoichi 「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 メタバース AI 不死・医療 ジェンダー 地震 感染症 気候変動……この1冊で、未来の全てがわかる!イーロン・マスクの愛読書『銀河ヒッチハイクガイド』、最新の話題作『三体』など、古典か

                            「10年後何が起きても生き残る人」と「未来の不安で潰される人」の差
                          • 「素晴らしい新世界」 - HPO機密日誌

                            今頃読んだ。アフターコロナを考え、「ハーモニー」を見、「レダ」を思い出しながら読んだ。大変興味深かった。 すばらしい新世界〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) 作者:オルダス・ハクスリー 発売日: 2017/01/07 メディア: 文庫 正直、SFファンを自認しながら50代にして初めて本書を読むとはなんとも恥ずかしいことだと。なんとはなしに「1984年」のいたたまれなさ、生きる辛さと同様の物語だと思いこんでいた。更に言えば「レダ」は全く本書の換骨奪胎なのだとも気付かされた。 レダ 1 (ハヤカワ文庫JA) 作者:栗本 薫 発売日: 2017/03/31 メディア: Kindle版 レダ 2 (ハヤカワ文庫JA) 作者:栗本 薫 発売日: 2017/03/31 メディア: Kindle版 レダ 3 (ハヤカワ文庫JA) 作者:栗本 薫 発売日: 2017/03/31 メディア: Kindle版

                              「素晴らしい新世界」 - HPO機密日誌
                            • 世界初の百合SFアンソロジー 『アステリズムに花束を』 全作品感想とか - テトたちのにっきちょう

                              お久しぶりです。ペンタです。 もはやこの挨拶が板についてきた感がありますね。 たぶん次回の更新時にも「お久しぶりです」から始まることになる予感がしています。 さて、今回は『アステリズムに花束を』というアンソロジーを読んでみたら新しい扉が開けてしまったので、感想を書いてレビュー紛いのことをしてみたいと思います。 アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA) 作者: S‐Fマガジン編集部 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/06/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る この本との出会い 全体的な感想 各作品の感想 『キミノスケープ』宮澤伊織 『四十九日恋文』森田季節 『ピロウトーク』今井哲也 『幽世知能』草野原々 『彼岸花』伴名練 『月と怪物』南木義隆 『海の双翼』櫻木みわ×麦原遼 『色のない緑』陸秋槎 『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』小

                                世界初の百合SFアンソロジー 『アステリズムに花束を』 全作品感想とか - テトたちのにっきちょう
                              • アイアンリーガーに騙された -1-

                                注 この文章は『疾風!アイアンリーガー』を第十三話まで鑑賞した人間が書いています。 撒き餌に釣られた者の末路 とんだ詐欺もあったものである。 『アイアンリーガー』というアニメを知る人ならば、この「初見人」の慟哭の意図を察してくれるに違いない。 これを呟いたのが、学生生活の記憶もとうに色褪せ、メディアを賑わせる人々が自分よりはるかに若いことに日々愕然とするようになった齢の人間であり、かつ令和の時代に『アイアンリーガー』というアニメを初めて目の当たりにし、そして今こんな文章を書くに至っているという事実を踏まえれば、なおさら。 何が詐欺か。何もかもである。 多少の表現の違いこそあれ、アイアンリーガーというアニメは「ロボットがスポーツをする子ども向け熱血(スポ魂)アニメ」というような説明をされる。 おそらく、それは間違いではない。間違いではないが――世に溢れる詭弁の数々が皆そうであるようにーー嘘を

                                  アイアンリーガーに騙された -1-
                                • 虐殺の文法とは一体何だったのか?|うぐひす

                                  友人が突然伊藤計劃を見始めたので、当時を振り返りつつ感想をまとめていきたいと思います。 ※一応言語学を専攻していた身として、学術的な観点から感想を述べていきます。ただ、象牙の塔を離脱してから少し経つのと、専門は生成文法ではなく、言語習得(バイリンガリズム)/語用論/社会言語学だったので、そのあたりはご容赦ください。 虐殺の文法は果たして文法なのか?結論から述べると、虐殺の文法は言語学で定義されるところの文法(grammar)ではない。実態としては、語用論(pragmatics)に近いと思う。 普段よく使われる文法(grammar)は、厳密に言えば統語論(syntax)を指している場合が多い。 数、性、時制、態、相といった名称は、統語論の分野で扱われる代物だ。 (ちなみにチョムスキーの生み出した生成文法は、統語論に分類されている) そもそも、文法の定義は難しい。 文法の定義をきちんと書くため

                                    虐殺の文法とは一体何だったのか?|うぐひす
                                  • 第1回 ディストピア文学はなぜ長年流行しているのか? | 文学は予言する | 鴻巣友季子 | 連載 | 考える人 | 新潮社

                                    *本連載について わたしは翻訳業と並行して、2000年頃から新聞や雑誌で書評の執筆を始めましたが、気づいたら、書評や評論のほうが仕事の大部分を占めるようになっていました。これまでに二度、それらの原稿を年代順などで並べて書評集、論評集にまとめたこともあります。しかしここ何年か書いてきた原稿には共通する大きなテーマがあるのではないか、それらのテーマを元に各所で書いてきた原稿を動的に再編・改稿し、新たな評論書として仕上げてはどうかと勧められました。 共通するテーマとは、現代社会とアクチュアルに関わる「ディストピア」「ジェンダー」「他者性」です。これを『文学は予言する』という一冊の本にまとめることで、現代の国内外の小説を多少なりとも見渡せることを目指したいと思います。お付き合いいただければ幸いです。 *本連載では「文学は予言する」の一部を掲載します。 「ディストピア」は「ユートピア」と表裏一体 英

                                      第1回 ディストピア文学はなぜ長年流行しているのか? | 文学は予言する | 鴻巣友季子 | 連載 | 考える人 | 新潮社
                                    • 2022.2.1 『ハーモニー』 - カメキチの目

                                      『アイの物語』にとても刺激されたので、また人類社会の未来を考えさせるものを 探して読んだ。 ヒト型ロボットもクローン人間も登場しなかったけれど、ほんとうにスゴかった。 「スゴい」とは意味のうすい便利な言葉だけど、語彙のすくない私には他の表現がでてこない。 『ハーモニー』  伊藤計劃 という。 (作者の伊藤計劃さんは34歳という若さで亡くなられている) (グーグル画像より。コミックにもなっているようです) 科学技術の進歩・発展をみていると、果てしなく膨張を続けている宇宙のよう。 これからも無限につづくのだろうか? 「イノベーション」「次世代」という表現がいつからなされるようになったのか知らないが、 次々に新しいものが登場している。 それを、外に向けて進化したのがヒト型ロボットの活躍する『アイの物語』で 遠い未来世界を描いていた。 『ハーモニー』では、それが内に向けて進化した生体バイオ技術を描

                                        2022.2.1 『ハーモニー』 - カメキチの目
                                      • 「偏見本棚」を作って遊んだら楽しかった話 | @hito_horobe のブログ

                                        導入 インターネットでは読んだ本の感想のシェアーが盛んにおこなわれているほか、読書メーターやブクログといった本棚シェアーサービスが人気を集めている。一方で読書歴や本棚をさらすことで思想・関心・性的嗜好などを知られてしまったり、偏見を持たれてしまう危険もある。 そこで今回は逆転の発想で、親しいフォロワーなどから「こんな本を読んでそう」という偏見を集め、「偏見本棚」を作成した。 おれが読んでそうな本をみんなに聞いて本棚を作ってみたいけど、まず搾精病棟が確定していて既に最悪のラインナップが想定されるので厳しい — 人間が大好き (@hito_horobe) June 28, 2021 提案段階でマジで最悪の遊びと評されてしまった(実際そう) 手法 ツイッターで募集したところ、20人くらいから「偏見」を貰った。 【募集】hito_horobeが読んでそうな本 — 人間が大好き (@hito_hor

                                        • 翻訳:ピーター・ワッツ「不朽」他10編 - 視神経

                                          https://anosognosia.netlify.app/ ご意見、ご感想、誤訳の指摘等は当記事のコメント欄まで。 フラクタル 1995年発表。42字×18行×23頁。 ジェミマおばさんは長い歴史を持つパンケーキミックスのブランド。人種差別的だとしてつい最近廃止された。 オカとラザニア云々はこの紛争のこと。 ベツレヘム 1996年発表。42字×18行×30頁+付記。 脳組織がごくわずかな健常者にはワッツ自身が衝撃を受けたらしく、例えば『6600万年の革命』にも言及がある。ブログにも記事がある。 イェイツの「再臨」は『エコープラクシア』「巨星」でも引用されている。 ジャズミン・フィッツジェラルドの再臨 1998年発表。42字×18行×35頁。 デジタル物理学への関心の片鱗がうかがえる。オメガポイントと言えば「血族」のアーカイブもそれっぽい。人工無脳的な会話、パートナーの人格の書き換えも

                                            翻訳:ピーター・ワッツ「不朽」他10編 - 視神経
                                          • SF読者が選ぶ「絶対に読んどけっていうSF小説」決定! 『星を継ぐもの』『夏への扉』など濃厚ランキング

                                            SF好きのX(Twitter)ユーザーが選んだ、おすすめSF小説のランキングが9万件の“いいね”を集めるほど注目されています。夏休みに読みたい! ランキングは、ブロガーのひろたつ(@summer3919)さんが、ハッシュタグ「#絶対に読んどけっていうSF小説」でおすすめを募り、手作業で集計したもの。参加人数1480人、投稿1876件という膨大な数の中から、10位までを紹介しています。どの作品も、SF好きが異常な熱量で愛を語っていた作品だそうです。 1位に輝いたのは、『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン)。「宇宙服をまとった5万年前の死体が月面で発見された」という壮大な謎に挑むストーリーで、SF読者にとどまらず、ミステリファンからも人気の作品です。ひろたつさんは「魅力的すぎる謎を提示されたら、読まずにはいられんでしょ!!」とコメントしています。 続く2位『夏への扉』(ロバート・A・ハイ

                                              SF読者が選ぶ「絶対に読んどけっていうSF小説」決定! 『星を継ぐもの』『夏への扉』など濃厚ランキング
                                            • 2016-2018年のウェブ小説書籍化③ SF系ウェブ小説の書籍化と純文学が狙った「足し算」型のウェブ小説|飯田一史|monokaki―小説の書き方、小説のコツ/書きたい気持ちに火がつく。

                                              2016年から2018年にかけては、広い意味での一般文芸に含まれるSFと純文学でもウェブ小説書籍化の動きが見られた。ただ、SFはウェブ小説との折り合いを見つけられたのに対して、純文学は散発的な施行に終わった。「歴史」を事実ベースで辿るに留まらず、今回はその違いがなにゆえだったのかまで考えてみたい。 SF系ウェブ小説書籍化の一般化 前回挙げた北野勇作の100文字SFのように、2016年からはウェブ発のSF小説が書籍化されることが当たり前になっていく。 早川書房が主催する第4回「ハヤカワSFコンテスト」で優秀賞を受賞した吉田エン『世界の終わりの壁際で』と黒石迩守『ヒュレーの海』はウェブが初出の作品だった。 吉田は2014年ころから「小説家になろう」で執筆を開始。黒石は2010年頃から個人サイト「矛盾でふらぐ。」で、2011年末頃から「なろう」で活動を開始。両作品は「なろう」投稿作を元にしている

                                                2016-2018年のウェブ小説書籍化③ SF系ウェブ小説の書籍化と純文学が狙った「足し算」型のウェブ小説|飯田一史|monokaki―小説の書き方、小説のコツ/書きたい気持ちに火がつく。
                                              • 【第2版】史学研究とゲーム研究の徒・蔵原大―遺稿と追悼― - 岡和田晃 - BOOTH

                                                2020年2月に急逝した、蔵原大氏の遺稿を精選・集成し、関係者30名の追悼文を添えた本文540頁の大著です。戦略学研究から出発し、ウォーゲーム史・シリアスゲームを通じた産官学の連携の研究といった分野で重要な仕事をなした故人の業績、および人柄を偲ぶよすがとして、電子書籍版を非営利で無償頒布いたします。 【[編]石塚正英・岡和田晃、[発行]蔵原大遺稿集刊行会】 2020年12月31日電子版初版 2021年3月31日電子版第2版、印刷版初版 【2021年5月19日追記】 このたび、諸般の事情により散逸したものと思われていた蔵原大氏の遺稿が見つかりましたので、同書の補遺としまして、あわせてダウンロード可能にしました。題して「「現実の戦争」としてのウェルズ『宇宙戦争』」。2018年12月5日、岡和田晃が東海大学文芸創作学科で開講したSF論のゲスト講師としての特別講演のレジュメとなります。戦略論および

                                                  【第2版】史学研究とゲーム研究の徒・蔵原大―遺稿と追悼― - 岡和田晃 - BOOTH
                                                • ChatGPTに戸惑っている人が読むべき「すごいSF本」名著4冊

                                                  ダイヤモンド社書籍編集局が、話題の1冊を取り上げ、書き手・作り手の思いや、本のメッセージなどを深掘りして紹介する。 だから、この本。 ダイヤモンド社の話題の1冊を取り上げ、書き手・作り手の思いや執筆動機、読んでほしい理由を深掘りするインタビュー連載。著者・訳者・デザイナー・編集者など、本に関わるさまざまな人たちの「だから、この本を書きました」「作りました」をお届けします。連載の詳細・記事一覧はこちら。 バックナンバー一覧 ChatGPTなどの新しいAI、地震などの自然災害、ウクライナへの軍事侵攻……日々伝えられる暗く、目まぐるしいニュースに「これから10年後、自分の人生はどうなるのか」と漠然とした不安を覚える人は多いはず。しかし、そうした不安について考える暇もなく、未来が日常にどんどん押し寄せてくるのが今の私たちを取り巻く時代だ。 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』

                                                    ChatGPTに戸惑っている人が読むべき「すごいSF本」名著4冊
                                                  • フェミニストのSF読者の憂鬱

                                                    これは評論であり断片であり感情であり食材であり構築物だ。 SFとはいったい何なのか?誰のものか?なんてことは語れないけど、私がSF読者であることだけは間違いない。つまり私が話したいのはジャンルの区分けというSFをめぐるいつもの話ではなく、内部にあるものが外部に切り分けられるという構造──クィア批評ではおなじみの──についての話だ。 非常に憂鬱になってこの文章を叩いている。ことの発端はTwitterなのだけど、そのことは正直どうでもいい。ただ単に私が感じてきた憂鬱が噴出した、っていうだけだから。 憂鬱というのは、SFが今までもこれからも思想とともにあるものであり、またその中にはフェミニズムが入っていた、ということ、このことがどうにも忘れられやすいというその状況への憂鬱だ。 いまさら、メアリー・シェリーっていう人がいて、母親はフェミニストで、『フランケンシュタイン』を書いてね、なんて丁寧に説明

                                                      フェミニストのSF読者の憂鬱
                                                    • 次世代SF作家の発掘法 編集者が背負うべきもの 早川書房・溝口力丸 Vol.2

                                                      アニメ化が決定した『裏世界ピクニック』(宮沢伊織)や『大進化どうぶつデスゲーム』(草野原々)など、新進気鋭の若手作家の作品を手掛ける早川書房編集者の溝口力丸さん。 SNSやnoteでも出版情報やインタビューを積極的に発表し、作家とSFファンを巻き込んだ「百合×SF」フェアを仕掛けたことでも知られている。 前回のインタビューでは、SF作品の編集術のポイントを詳しく語ってもらった。しかし彼が多くの読者たちから注目されるのは、専門的な編集の技能だけが理由ではない。ハヤカワの次世代を担う若手作家たちを大きく飛躍させ、noteやTwitterを活用し、新たなSFのムーブメントを引き起こしている点にある。今回は、溝口さんに新人作家の発掘方法やネットを活用したムーブメントの仕掛け方などについて聞いた。 目次才能あるSF作家を発掘するためには?ムーブメントを自然と生むには?編集者が背負うべきものソシャゲと

                                                        次世代SF作家の発掘法 編集者が背負うべきもの 早川書房・溝口力丸 Vol.2
                                                      • “20万円で私生活動画”の社長に聞く 「オンラインの個人情報流出の方が深刻」 | 毎日新聞

                                                        動画撮影による社会実験の意義について語る遠野宏季社長=東京都目黒区で2019年11月21日午前11時13分、吉田卓矢撮影 20万円で1カ月間にわたり私生活動画を撮影・収集するIT会社「Plasma」(プラズマ)」(東京都目黒区、遠野宏季社長)による社会実験が11月下旬から行われている。実験への参加者募集を巡っては当初、報酬として生活保護費相当の金額を提示し、ネット上で議論を巻き起こした。これまでの経緯を振り返り、改めて遠野社長(28)に実験の意義や問題意識などについて聞いた。【吉田卓矢/統合デジタル取材センター】 「社会貢献として自分のデータを提供する人も現れる」 ――11月にプラズマを創業した目的は。 ◆技術で世の中をよりよくしたいとの思いで作りました。小さい頃から新しい技術にわくわくしました。ただ、技術は暮らしを豊かにする半面、環境破壊など負の側面もあります。現在、グーグルやアマゾンな

                                                          “20万円で私生活動画”の社長に聞く 「オンラインの個人情報流出の方が深刻」 | 毎日新聞
                                                        • 『100日間生きたワニ』の「本当に信頼できる」感想・解説記事12選|〜ネットいじめと批判の違いとは〜 | CINEMAS+

                                                          映画『100日間生きたワニ』において、「レビューサイトの荒らし」や「予約システムで遊ぶ迷惑行為」が横行した。 このことについては、自身が苛烈な誹謗中傷を受けたスマイリーキクチさんも「業務妨害罪になるかもしれません」「『ノリ』と『空気』は凶暴化します。“こいつには何をやってもいい”と決めつけた群衆ほど怖いものはない」と警鐘を鳴らしている。 映画のレビューに中傷を書いたり、イタズラで座席を予約して、キャンセルして遊ぶと業務妨害罪になるかもしれません。 『ノリ』と『空気』は凶暴化します。 “こいつには何をやってもいい”と決めつけた群衆ほど怖いものはない。 みんなもやっているから、自分もやる。 この考え方を捨てましょう。 — スマイリーキクチ (@smiley_kikuchi) July 8, 2021 まさにその通り、映画『100日間生きたワニ』への異常なバッシングムードは、苛烈なネットいじめと

                                                            『100日間生きたワニ』の「本当に信頼できる」感想・解説記事12選|〜ネットいじめと批判の違いとは〜 | CINEMAS+
                                                          • 心の距離の物語。ハヤカワ文庫の百合SFフェア開催のおしらせ(2020年版)|Hayakawa Books & Magazines(β)

                                                            昨年大好評だった「ハヤカワ文庫の百合SFフェア」を、今年も6月下旬から開催いたします。キャッチコピーは「心の距離の物語。」 SFマガジン百合特集が史上初の3刷となった2018年、世界初の百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』が刊行された2019年。今年・2020年には『天冥の標』で日本SF大賞を受賞した小川一水さんによる『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』が刊行され、また宮澤伊織さんの『裏世界ピクニック』シリーズがTVアニメ化することも発表されました。 女性同士の感情と関係性を通して描かれる、人と人との、心の距離の物語。現実世界で「距離」が大きく問い直された2020年だからこそ、小説を通じてその在り方に想いを馳せてみませんか。 【フェア対象作品】 『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』 小川一水 装画:望月けい ★フェア開催にあわせて重版出来! 人類が宇宙へ広がってから60

                                                              心の距離の物語。ハヤカワ文庫の百合SFフェア開催のおしらせ(2020年版)|Hayakawa Books & Magazines(β)
                                                            • 無職が30歳を期にタバコを一年間吸ってみた感想

                                                              良かったこと 適度な息抜きができるようになった1時間勉強したらタバコを1本吸うといった具合に、集中モードとリラックスの切り替えがスムーズになった気がする。 銘柄に詳しくなったタバコを始める前は銘柄の区別がつかなかった。先輩に〇〇買ってきてとか言われても、何ミリとかハードケースorソフトケースとかロングorショートとか、下手するとキャスターとかマイルドセブン(現ウィンストンとメビウス)とか存在しない銘柄を指示されることがあって、そんなもん分かるか!と思っていた。それが自分が吸うようになり、人の銘柄を観察するようになったらたちまち違いがわかるようになった。また、銘柄によって味や香り、(大袈裟に言えば)哲学の違いがわかるようになり、自分の好みも把握できた。 喫煙者と仲良くなれた4ヶ月間だけバイトをしていたのだが、上司や得意先の人間と喫煙所で仲良くなれた。好みの銘柄とその遍歴を探るだけで、その人の

                                                                無職が30歳を期にタバコを一年間吸ってみた感想
                                                              • 2019年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞) - 白樺日誌

                                                                昨年、百合マンガの年間ベスト( 2018年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞) - 白樺日誌 )を自選してみた。先日、見返したところなかなかいい趣味だった。ややサブカル寄りな気もしたが、ある視点からした2018年の年間傑作選としてはかなり参考になるものだった。というわけで、今年も百合マンガと百合小説の年間ベストを選出する。 ・マンガ部門 1.高野雀『世界は寒い』第1巻 『あたらしいひふ』の高野雀の描く高校生の女子6人の群像劇。密売品らしい拳銃を拾って、試射で1発を消費し、5発の残弾を1人1発ずつ使えることにして共同所有する話。 このあらすじで察せられるだろうが、拳銃はあくまで小道具で、主役の6人がこの契機に自分の人生を考えることが本題だ。6人の人物描写と関係性の描出も見事で、百合としてもよい。 2.あらた伊里『とどのつまりの有頂天』第1巻 『総合タワーリシチ』の天才、あらた伊里の新作。

                                                                  2019年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞) - 白樺日誌
                                                                • “電信”による社会変化を描く名著『ヴィクトリア朝時代のインターネット』復刊

                                                                  絶版状態が続いていた書籍『ヴィクトリア朝時代のインターネット』が、ハヤカワ文庫NFから5月9日(木)に刊行される。 とてつもない距離を即時に越えるコミュニケーションを可能にした電信(テレグラム)の発明史と、19世紀の欧米社会に与えた大いなる影響を、現代のインターネットになぞらえながら描いた名著だ。 視点を変えて世界史を見通すジャーナリストの書籍『ヴィクトリア朝時代のインターネット』は、作家/ジャーナリストのトム・スタンデージさんによる書籍。 トム・スタンデージさんは、イギリスの『エコノミスト』誌のテクノロジー担当ライター。 他の著作に、世界史を飲料の視点から見通す『歴史を変えた6つの飲物 ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語る もうひとつの世界史』がある。 ほかにも、ベンジャミン・フランクリンやナポレオン・ボナパルトとも対戦したチェス指しロボットの歴史を追い、その正体を暴く『謎

                                                                    “電信”による社会変化を描く名著『ヴィクトリア朝時代のインターネット』復刊
                                                                  • MGS3リメイク記念!!伊藤計劃『虐殺器官』あらすじ解説ネタバレレビュー!! - 桜の園でつかまえて

                                                                    始めに 始めに 語りの構造、背景知識 等質物語世界の語り手・クラヴィス 戦争の狂気、内なる獣性、自然主義哲学、生成文法論 ポストコロニアル文学 物語世界 あらすじ 総評 粗いが面白い着想もある 参考文献 始めに 始めに 最近姉妹サイトの収益化のために労力を割いていたためこちらの更新が滞っておりました。楽しみに読んでくれている人もまあそんなにいないとは思いますが、数日ぶりに投稿してみます。『メタルギアソリッド3』リメイク発表の記念に、シリーズファンの伊藤計劃『虐殺器官』のレビューを書いていきます。 リンク 語りの構造、背景知識 等質物語世界の語り手・クラヴィス 等質物語世界の語り手・クラヴィス=シェパードの語りによって綴られています。また伊藤計劃は黒沢清監督の作品を愛好していたことで知られ、本作も『CURE』とプロットや主題の面で共通性が見られます。 この作品は「虐殺の文法」を駆使するジョン

                                                                      MGS3リメイク記念!!伊藤計劃『虐殺器官』あらすじ解説ネタバレレビュー!! - 桜の園でつかまえて
                                                                    • 「CASSHERN」ってなんだったのだろう - 伊藤計劃:第弐位相

                                                                      自分が劇場で観たものはいったいなんだったのか。恐ろしく下手っぴいな映画を観た気もするし、恐ろしく愚直で正しい映画を観た気もする。よく憶えていない、というのが正直なところだけど、それを確認するためにもう一度観てみることにした。というわけでDVDを観る。 サイゾー、のインタビューは言い訳でも何でも無くて、たんなる(制作前から覚悟していたことの)ぶっちゃけである、というのはロフトプラスワンで脚本家の佐藤大さんが言っていたことを考えるに、正しいと思う。脚本家チームが「ここは台詞で言わないほうがいい」「台詞で説明すると嫌がられる」「アクションで示した方が」と書いてきたものをすべてダメ出しして、全部言わせるように、とこの監督は逐一(「台詞で語らない」方向であるパートが書かれるたびに)ダメ出ししていったそうだ。そのほうがスマートな(そして常識的な、美しい)ラインであることをがっつり承知で、しかしそういう

                                                                        「CASSHERN」ってなんだったのだろう - 伊藤計劃:第弐位相
                                                                      • 機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST 11 後編 宗教的に見る - 玖足手帖-アニメブログ-

                                                                        前回のあらすじ nuryouguda.hatenablog.com アッシュ・キングの演説 それでだ。賛美歌の国の軍とキュクロープスとを相手取った戦闘が終わり、コロニーが移動をはじめて、ネオ・1バンチの民衆にタルス・バンス王からDUST計画の説明会が行われる。地球に行くのが嫌だとか言って反対する民衆が混乱する。そこに、計画の全権を任された男としてアッシュ・キングが演説をぶつ。ここでタルス・バンス王の娘のオリエを抱きかかえて次の王であるように匂わせる演出もするが…。 「自分の命の責任なんぞ、他の誰にも取りようがねえって言ってんだよ!」と一喝する。 ガンダムシリーズでは伝統的に無責任な大衆に対して「主権者であれ!」と言っているようなもので、びっくりした。 富野監督のガンダムは割と女王制とかカリスマ的な指導者のドラマを描くことが主眼になっている場合が多い。いや、もちろんパン屋のキースとかそういう

                                                                          機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST 11 後編 宗教的に見る - 玖足手帖-アニメブログ-
                                                                        • 有名人の死

                                                                          有名人の死更新情報忌日1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月死に様自殺-①岡田有希子ポール牧大杉君枝倉沢七海遠藤康子日高富明戸川京子沖田浩之ねこぢるチェ・ジンシル堀口綾子美咲沙耶沖雅也円谷幸吉田宮二郎川端康成U;Nee麻生美由樹カート・コバーン草柳文惠伊藤隆大畠山麦宮城宗典マイケル・ハッチェンスアドルフ・ヒトラー塩谷庄吾甲斐智枝美可愛かずみ太宰治犬丸りん南条あや古尾谷雅人松岡利勝井上大輔チャン・ジャヨンチョン・ダビンシャーンドル・コチシュ山田花子岡真史ジャック・マイヨールイルゼ・コッホ鈴木いづみ清水由貴子高野光森下直人ロベルト・エンケ三輪田勝利デュオ・クロムランクジム・ジョーンズマリアてるくはのる桂三木助(4代目)キム・ダウル有島武郎剣持勇御船千鶴子久野久レスリー・チャン若山セツ子加藤善博自殺-②翁美玲陳琳伊藤京子ルーシー・ゴードン阿知波信介ティック・クアン・ドック団優太シ

                                                                            有名人の死
                                                                          • 「遺産」としての、山本弘氏のブログとSNS…その未来と、保存について - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

                                                                            すでに多くの記事もあり、はてなの反応もある。あらためて安らかなれ。 togetter.com togetter.com www.tsogen.co.jp www.hayakawabooks.com ※それぞれ、ブクマが多数ついているものもあるのでそちらも さて、当然、多くの著作を残した山本氏は、それを愛読者が、そしてこれから読む読者が遺産として語り継いでいく、読み継いでいくだろう。 好事家は、そこには収録されないような雑誌などをさがしまわるかもしれない。 BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上 (創元SF文庫) 作者:山本 弘東京創元社AmazonUFOはもう来ない 作者:山本 弘PHP研究所Amazon神は沈黙せず(上) (角川文庫) 作者:山本 弘KADOKAWAAmazon地球移動作戦(上) (ハヤカワ文庫JA) 作者:山本 弘早川書房Amazon去年はいい年になるだろう(上)

                                                                              「遺産」としての、山本弘氏のブログとSNS…その未来と、保存について - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
                                                                            • 機動戦士クロスボーン・ガンダムX‐11 第2巻 完結 感想 - 玖足手帖-アニメブログ-

                                                                              どうも世間ではテレビでガンダムの暖簾貸しをしてもらったアニメが始まったことが話題になっているようだが、オールドスクールなオタクとしてはクロスボーン・ガンダムの方が重要。(地方民なので発売日に買えなかったけど、なんか考えていたら三日くらい経った) nuryouguda.hatenablog.com ↑1巻の感想 スピンオフっぽさ 無印クロスボーン・ガンダム全6巻が1,2クールのテレビアニメを想定していて、鋼鉄の7人全3巻が七人の侍オマージュの映画っぽい。 なので2冊で終わるクロスボーン・ガンダムX-11はクロスボーン・ガンダムDUST全13巻のスピンオフテレビスペシャルくらいの映画未満の感じだと思うけど。 割とこう、それはそれでテンポコントロールが巧くいっている感じはした。1巻の感想でも書いたけど、やはりカーティス・ロスコは女王陛下のスパイという007っぽさがあるし、007は二度死ぬっぽさが

                                                                                機動戦士クロスボーン・ガンダムX‐11 第2巻 完結 感想 - 玖足手帖-アニメブログ-
                                                                              • 少女へ託す危うさに、書き手として無自覚ではいたくない 伴名練インタビュー

                                                                                後編では、その作品における少女性から主題、そして現在『SFマガジン』誌上で連載する、SFにおけるジェンダーバランスについて、話が深まっていく。 同席されていた小説家・高山羽根子さんを交えながら、伴名練の目を通して向き合っているものに迫る。 目次少女性、あるいは伴名練作品の主題「SFは女にわかるわけない」日本SFの最初期を問い直すファンダムの分断と再興「新井素子」という存在才能と作品が増えることは嬉しい、けれどSF的な想像力が広がったからこそ 少女性、あるいは伴名練作品の主題 ──『なめらかな世界と、その敵』はジュブナイル小説としても広まった側面があると考えています。その要素の一つとして、伴名さんの近年の作品では、少女を主人公にすることが非常に多いように思えます。少女というモチーフに何か意図しているものがあるんでしょうか。 伴名練 同人誌に書いているものも含めて、改めて自分でもいろいろ確認し

                                                                                  少女へ託す危うさに、書き手として無自覚ではいたくない 伴名練インタビュー
                                                                                • 2021年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞) - 白樺日誌

                                                                                  『Twitterにおける映画感想がダメなものになりがちな理由』(https://theeigadiary.hatenablog.com/entry/2020/04/27/130621) 1. 批判を避ける、また過大評価する傾向。(「合計100兆点」など) 2. レッテルが付いた作品だけは過剰に批判する。(「見る拷問」など) 3. 紋切型・定型句の反復。(「○○はいいぞ」など) 4. マンガ化による水増し。 5. 役者・キャラクターへのフェティシズムの表明。(役者の画像を4枚並べてツイートするなど) 6. ファンダムの自己愛。(「○○の場面があっただけで100点だった」など) 7. 大喜利。(「『すみっこぐらし』は実質『ジョーカー』」など) 8. マイナーへの専門分化。(アルバトロス映画を全作鑑賞するなど。無論、それ自体は良いことのはずだ。だがSNSの場合、1~7までと容易に結びつく) 9.

                                                                                    2021年度私的百合マンガ大賞(付・百合小説大賞) - 白樺日誌