対談した戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏(左)と思想家の内田樹氏(右) コロナ・パンデミックで日本政府の後手後手の対応に怒りを覚えた人は多いだろう。失政により多数の死亡者を出しても、為政者が責任を取ることもなく、政策の見直しを迫られることもない。コロナに限らず、長時間労働に長引く低賃金、外国人技能実習生への冷酷な仕打ちなど、この国では、人の命があまりにも軽んじられていないか──? そうした思いから、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏が『未完の敗戦』(集英社新書)を上梓。思想家の内田樹氏と対談を行った。 (本対談は、2022年7月9日に大阪・隆祥館書店にて行われた『未完の敗戦』刊行イベントの内容を一部抜粋して構成しています) ■ここまでおかしな国は他にない!?山崎 日本の組織は、支配層や上層部の利益が全体の利益になると思わせて、都合のいいように人々を従わせていると思います。例えばSNSでも、職場環