ロマン・ポランスキー監督作品『オフィサー・アンド・スパイ』(原題はJ'accuse)の公式パンフレットに一文を寄せた。この映画の配給には字幕監修として私も協力した。もうすぐ公開されるので、ぜひ観に行って頂きたい。その前にまずドレフュス事件がどのような歴史的文脈に位置づけられる出来事なのかについて少しだけ説明する。 ロマン・ポランスキーは少年時代にナチス占領下のポーランドとフランスで「ユダヤ人狩り」に遭遇した。彼は生き延びたが、母はアウシュヴィッツで殺された。ホロコーストでは600万人のユダヤ人が殺されたと言われている。正確な死者数はわからない。 この映画は1895年1月5日のドレフュス大尉の軍籍剥奪式の場面から始まる。この日に、それから50年かけて、最後には600万の虐殺に至る近代反ユダヤ主義の歴史の号砲が鳴り響いた。象徴的な意味で「すべてはここから始まった」と言ってよい。 この軍籍剥奪式