<ネガティブなロシア人が中国の若者たちのアイコンに。習近平政権下で広まる「無気力カルチャー」とは> 僕に投票しないで! テレビでそう訴え続けたウラジスラフ・イワノフ(ステージ名リルーシュ)が、ついに夢をかなえた。中国の人気オーディション番組『創造営2021』の最終回で、晴れて落選を決めたからだ。 今年2月、イワノフ(本業は通訳)は軽い気持ちでボーイズバンドのメンバー発掘リアリティー番組に参加した。すぐに後悔したが、降りたら契約違反で罰金を取られる。だからステージに立ち、あらゆる手段で落選キャンペーンを張った。 しかし彼の落胆した表情や中途半端なパフォーマンス、そして「投票しないで」の訴えは逆効果だった。イワノフは決勝まで残り、気が付けば現代の「喪(サン)文化」のアイコンとなっていた。 中国語の「喪」は「意気消沈」や「落胆」の意味。自分を卑下し、競争を嫌い、目標など信じない態度が、中国では数