昨年亡くなった作家の大江健三郎さんや音楽家の坂本龍一さんらが呼びかけた「さようなら原発」運動の全国集会が20日、東京・代々木公園で開かれた。主催者発表で約6000人が集まり、一時雨が降る中、脱原発を訴え、集会後は周辺をデモ行進した。
9月13日の昼過ぎ、今日都内のホテルで、大江健三郎のお別れの会が開かれたというニュースをX上で見た時、あっ私は呼ばれなかったんだという悲哀が突き上げてきた。衝撃を受けつつあちこち調べてみると、大江についての本を書いた榎本正樹は呼ばれたが行かなかった、高原到も呼ばれたが仕事があっていけなかったとかポストしており、かなり幅広く呼ばれたらしく、もしや蓮實重彦も呼ばれなかったのではと思ったが呼ばれていたようだし、私がパージされたのは明白で、私は衝撃のため二日ほど仕事が手につかなかった。 そこで私は「眠れる森の美女」の舞踏会に呼ばれなかった魔女のごとくタタリ神となって以後は語るが、近年、大江健三郎は中産階級向け、お茶の間向け、テレビ向けに微温化され、デオドラント化されている。スピーチしたのは黒柳徹子、山内久明、朝吹真理子というあたりがすでに微温的ではないか。 そもそも私が中学3年の時『万延元年のフッ
PCを買い替えたので、昔の古いフォルダなどを整理していると。 こんなのを見つけた。 大江健三郎と三島由紀夫における、時間と空間をめぐる想像力の特性について述べよ ああ、こんな課題あったな、大学時代にやったよ。 どれどれ、自分はどんな風に提出したんだっけかなと。 古いワードファイルをポチっと開く。 大江健三郎と三島由紀夫の時間的表象や空間的表象を比較する際、ラカン的解釈に基づけば、その差異は鮮明に浮かび上がる。大江は<自由に選べる分岐点=対象a>を、象徴界において求め続ける運動を行っていたのに対し、三島は<現実界に存在する禁忌=対象a>を手に入れてしまったことで、象徴界からの離脱が展開されていると私は思う。 不可逆的な時間を可逆にし、現実を変更可能なものとしようとする大江の試みは、象徴界の不可逆的時間軸から逃れる試みであり、それを実現するため、大江は時間を空間化する。オリエンテーリングのよう
脳ヘルニアで頭が二つあるような 姿をしていたの。そんな我が子を見て 動揺したバードは愛人のもとへ逃げ込み 子供が手術するべきかどうか悩み苦しむの。 『個人的な体験』大江 健三郎 (著)新潮文庫あらすじ広大なアフリカの地をいつか旅してみたい。 そんな夢を抱いていたバードだが、生まれてきたわが子を見て恐怖感に囚われた。 脳に異常を持った嬰児は大学病院へと移されるが、息子の死を願いながら旧知の友人、火見子と体を重ね、自ら禁じていた酒に手を出し、背徳と絶望の日々を送っていた。 わが子にふりかかる運命を受け入れることに迷い、その生と死の間で揺れ動く様を描く物語。 わが子の運命を受け入れられない男が選んだ道尊敬する教授の娘と結婚したバードは予備校の教師をしている二十七歳。 一時期酒をひたすら飲み続けるようになってしまったのですが、その理由は自分でも良くわかっていません。 アフリカ旅行を夢見て地図や書籍
東京創元社に対する告発文の更新が滞っていますが、純粋に私自身が忙しかったというだけのことであって、それ以外の理由はありません。全体として長篇小説に相当する程度の分量にはなるため、引き続き少しずつ更新を続けていきます。 ただ、今回は、どうしてもこれだけは書いておかなければならないということがあったため、そちらの方を優先してアップします。……とはいえ、大きい文脈の中では、日本の出版業界・文芸業界の腐敗という点で関連してくることでもあります。 少し前のことだが、蓮實重彦が大江健三郎について書いた文章を読み、そのあまりにも大江に対して不当である悪辣な仕打ちについて、心の底から憤激するということがあった。 一応断っておくと、問題の文章は、大江が亡くなる以前に執筆され、公表されたものだ。ただし、大江が亡くなった後に公表された蓮實による追悼文を一読しても同じ論旨があったため、「蓮實重彦による大江健三郎に
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部(以下、東大文学部)は、大江健三郎氏から自筆原稿などの資料の寄託を受け、この度、大江健三郎文庫を正式に発足することになりました。 2021年1月、大江健三郎氏と大西克也研究科長(当時)のあいだで寄託に関する契約を締結したのち、資料の整備と並行して、資料の利用について双方で検討を重ね、2023年7月4日、大江健三郎氏の著作権継承者と納富信留研究科長とのあいだで寄託資料の利用に関する契約が締結されました。 寄託資料は、大江氏の自筆原稿・校正刷など1万8千枚を超えており、このような規模で現代作家のデジタルアーカイブが構築されるのは国内でも稀有なことになります。 東大文学部では、2023年9月1日、大江健三郎文庫発足記念式典を開催し、同文庫を正式にオープンします。研究者に対して、1万8千枚におよぶデジタルアーカイブ、3500点を超える資料の閲覧の場を提供するほ
日本人として2人目のノーベル文学賞作家で、ことし3月に亡くなった大江健三郎さんの自筆原稿など、1万8000枚以上をデジタル化した研究拠点が大江さんの母校の東京大学に設立されました。 現代日本を代表する小説家で日本人で2人目となるノーベル文学賞を受賞した大江さんは、ことし3月に88歳で亡くなる前から、大学に自筆原稿などを寄託してきたということです。 室内には専用のパソコンがあり、1957年のデビュー以降、発表してきた小説や評論など131作品の自筆原稿など1万8000枚以上をスキャンした画像が閲覧可能です。 このほか ▽2013年の大江さんの最後の小説「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」では、数多くの加筆・修正のあとが確認できます。 大学によりますと現代作家のデジタルアーカイブとしては国内屈指の規模だということです。 利用には事前申請が必要で、研究・教育を目的とする人を対象としていて、大学
赤松りかこさん=撮影・武藤奈緒美 第55回新潮新人賞 受賞作品「シャーマンと爆弾男」 南米で生まれたアリチャイは、族長である母からシャーマンとして育てられたが、帰国し30代になった今も精霊の声は聞こえない。彼女を巡る神秘的な物語をいつも語り聞かせていた母は、今は老人ホームで好物の蒸しパンを楽しみに過ごす。アリチャイは多摩川の河川敷でカワウの幼鳥を見つけ、やがてくる水害から彼らを救おうとする。彼女に心酔したホームレスのヨハネ四郎は元活動家の血が騒ぎ、手製爆弾で協力を申し出る――。 困った。何を聞いても大江健三郎の話になってしまう――。 新潮新人賞を受賞した赤松りかこさんのことだ。応募の際、略歴を提出するのだが、赤松さんはそこにも〇歳で大江文学と出会い、〇歳のときに大江のこの作品に感銘を受け……と〈マイ大江ヒストリー〉をぎっしり書き、編集部から「ひょっとして関係者のかた?」と聞かれたそうだ。筋
「俺は自分を意識する、そして次の瞬間、世界じゅうのあらゆる他人から意地悪な眼でじろじろ見つめられているように感じ、体の動きがぎこちなくなり、体のあらゆる部分が蜂起して勝手なことをやりはじめたように感じる。
始めに 始めに 語りの構造、背景知識 フォークナー、アナール学派、文化人類学の影響 スポーツと宗教を結ぶ文化人類学 象徴的手法 物語世界 あらすじ 総評 大江健三郎が新たなステージに登った時期の作品 関連作品、関連おすすめ作品 参考文献 始めに 始めに 大江健三郎の死を悼み、代表作『万延元年のフットボール』のレビューを書いていきたいと思います。 リンク 語りの構造、背景知識 フォークナー、アナール学派、文化人類学の影響 大江健三郎は初期からモダニズム文学者ウィリアム=フォークナーの影響が顕著です。コンラッドやT.Sエリオットといったモダニズムの潮流を汲むフォークナーは、たとえばアナール学派が設定したような問題意識から、過去の歴史を物語ろうとします。文化人類学、社会学の分析枠組みを導入し、世相史や社会史の記述を試みたり、ミクロなアクターの視点・現象からの記述やマクロなシステムの構造的考察とい
大江健三郎が今年の3月に亡くなったことを受けて、代表作をいくつか読んでみようかなと思って、この1年間、時々読んでいた。 大江は代表作と呼ばれている作品だけでもかなりたくさんあるので、その中でもさらに絞り込んで、ごく一部だけを読んだ形になる。特に今回、息子との関係を描いたタイプの作品群は全然読んでいない。 個人的には『同時代ゲーム』を読めてよかったと思っている。 面白かったのは「セブンティーン」二部作かなあ。 でも、お話として完成度が高くて読みやすいのはやはり『万延元年のフットボール』かなとか。 とはいえ、どの作品もそれぞれ違った形で面白い。ノーベル文学賞作家を捕まえて何を言うかという感じだが、小説がうまい。文体は確かに独特なところがあるが(そしてその独特さをうまく説明できないのだが)、決して難解というわけではないと思う。読み物としての面白さがある。 大江健三郎というと、あの丸眼鏡の風貌とゆ
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