危機には指導者の資質が問われる。特に国民の生命財産を直撃するような事態において政治指導者が優れていることは国民にとって大いなる幸せだ。もちろん国民が危機に耐えうる力があることこそが、もっと本質的な問題だとは思うが、国民を動かす力も含めて政治指導者の役割は大きい。おそらく近代日本が経験し、日本の運命を決定づけた重大な危機として挙げられるのは、1853年の黒船来航を端緒とする明治維新と1941年の真珠湾攻撃から4年続いた太平洋戦争だったのだろう。明治の元勲たちは見事に明治維新を成就し、太平洋戦争においては、これを止める力はなく、惨めな敗戦に終わった。第二次世界大戦後の重大な危機においては、国際社会、特に米国とともに行動する場合がほとんどで、日本は受け身で危機に対処する場合が多かった。おそらく2011年の東日本大震災・東京電力福島第1原発事故を除けば、今日の新型コロナウイルス・パンデミックは日本