自分ツッコミにあふれた世界 グレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー主演の映画「バービー」(マテル・フィルムズ制作)が日本でも公開された。玩具メーカー・マテル社が1959年から販売してきたドールを実写化した映画で、バービーたちが暮らすバービーランドには明るいピンクの街並みが広がり、おしゃれな装いの有能な女性たちが闊歩する。しかしその表層的意匠とは裏腹に、生きること死ぬことの意味をめぐり実存主義的な問いかけをも擁した作品だ。 「世界的大ヒット」と銘打たれているが、日本の興行成績はそこまでではなさそうだ。まず、原爆の父を描いた映画「オッペンハイマー」と「バービー」をかけ合わせた、きのこ雲を使ったコラージュ画像に米国公式アカウントが好意的なリプライを付けたことがイメージダウンにいくらか荷担した感は否めないのだが、コメディ映画なのにゲラゲラ笑って観ている人が少ないのではないか? 私は東京近県のシ