電通グループの調査「2023年 日本の広告費」によれば、2023年のインターネット広告費は3兆3330億円で、地上波テレビ広告費の約2倍にまで膨れ上がった。ところが、市場急拡大の反動で様々なほころびが出始めている。脱クッキーによる既存の広告の生態系の破壊、SNSで問題の「詐欺広告」や「インプレ(インプレッション)ゾンビ」など、問題が山積みだ。本特集ではデジタル広告の市場拡大に伴って生まれた負の側面に焦点を当てながら、健全に発展させていく上で各プレーヤーの動向を追う。 「デジタル広告市場に約25年間かかわってきたが、過去最悪の状況だ」 デジタルマーケティングの支援会社アタラ(横浜市)代表取締役CEO(最高経営責任者)の杉原剛氏はこう嘆く。杉原氏はヤフー(現在のLINEヤフー)の傘下で広告事業の基礎を築いたオーバーチュア、Google(グーグル)日本法人の広告営業戦略担当を経て、アタラを創業し