主体的、対話的で深い学び(アクティブラーニング=AL)や大学改革の研究を通して、大学生や社会人に求められる「資質・能力」を育成するには「大学からでは時すでに遅し」。そう訴えてきたのは、AL研究の第一人者、溝上慎一・元京都大教授(54)=学校法人桐蔭学園理事長=です。教育学からみてそうした資質・能力はいつ、どのように育てるべきなのかを聞きました。 大学以降では挽回しにくい ――大学から資質・能力を育てるのでは遅いことを示す調査があるのですか。 ◆私は、子どもを学校から社会・仕事へ送り出す「トランジション(移行)」を研究テーマの一つにしていますが、学校教育が社会に出たときにどう役に立つかを調べた研究は多くありませんでした。 京大准教授だった2013年から河合塾と連携し、当時の高校2年生を21年まで追跡調査しました。全国378校、約4万5000人を対象に調査を始め、高2、大学1~4年、社会人3年