日銀は14日、長期金利の上昇を抑え込むために同日実施した「指し値オペ」と呼ぶ公開市場操作の応札がゼロだったと発表した。10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い取ることを通知したが、市場金利は0.25%を下回って推移しているため、金融機関は応札しなかった。指し値オペは事前に告知されており、市場の10年物国債の利回りは14日朝に0.
FRBは今月1日までの2日間、金融政策を決める会合を開きました。 1日に公表された声明では「経済活動は堅調なペースで拡大している。インフレ率はこの1年で和らいでいるが依然として高い水準だ」としたうえで、新たに「この数か月間、2%の物価目標に向けたさらなる進展はみられない」との文言を盛り込みました。 そして会合の結果、政策金利を現在の5.25%から5.5%の幅と、およそ23年ぶりの高い水準のまま据え置くことを決定しました。FRBが金利を据え置くのは6会合連続です。 パウエル議長は会合後の記者会見で「インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信が得られるまでは、利下げをすることは適切でないと考えている。ことしに入ってからのデータからは確信が得られていない。確信を得るには、以前の予想よりも時間がかかると思われる」と述べ、早期の利下げに慎重な姿勢を見せました。 一方、インフレの抑制に向けて国債
断続的に年初来高値を更新してきたドル円相場だが、3月23日には6年7カ月ぶりに一時124円台に下落した。果たして、日銀の黒田総裁が語るように円安はプラスなのか、それともマイナスなのか。みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏が解説する。 「円安≒国力の低下」という理解 (唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト) ドル/円相場は断続的に高値を更新し続けている。3月28日には、指定した利回りで無制限に国債を買い取る日銀の「指し値オペ(公開市場操作)」を実施するとの通告を受け、「日銀が円安を容認した」との思惑が先行し、さらに円売りが加速している。 以前の記事「ウクライナ危機とともに到来した円安・インフレ時代に日本経済は耐えられるか」でも論じたように、2012~2013年を境に起きた「貿易黒字の消滅」がドル/円相場の下支えに寄与してきたとの基本認識に立ち、現状は「貿易赤字
クルーグマンが、今回の債務上限問題が今後辿る経路について4つの可能性を挙げた。 So I now see four possible paths through the debt ceiling crisis. Reaching a deal with Kevin McCarthy isn't one of them 1/ The possible paths are: Discharge petition, forcing a floor vote that brings in a handful of sane Rs 14th amendment: Just say we don't believe the debt ceiling is constitutional platinum coin premium bonds, which sell for much more than
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その理由ははっきりしているのではなかろうか。大阪で一応の実績を上げてきた「日本維新の会」を除けば、旧民主党を中心とした野党勢力が政権奪取したところで本当に消費増税を見送ることができるかどうかが疑わしいからである。 旧民主党は、政権奪取を果たした際のマニフェスト(いまや死語になった感がある!)で、消費増税に頼らない財政再建を公約した。その帰結は、見かけ倒しの単なるパフォーマンスに終わった事業仕分けと野田政権下での消費増税決定(3党合意)であった。 そして、今回、立憲民主党は、介護・医療・保育分野での賃上げ、農業者戸別所得補償、年金の最低保障機能導入、公立小中学校の給食無償化などの公約を打ちだすと同時に消費増税反対の立場をとったが、消費増税に代わる説得的な財源を提示することができなかった。民主党政権の失敗の反省はなく、何も進歩していないことが露呈した。 国民民主党も同様である。国民民主党は、所
というNBER論文をエガートソンらが上げている。原題は「The Slanted-L Phillips Curve」で、著者はPierpaolo Benigno(ベルン大)、Gauti B. Eggertsson(ブラウン大)。 以下はその要旨。 A slanted-L curve is well-suited to represent the non-linearity of the celebrated Phillips curve. We show this using cross-country data of major industrialized economies since 2009, including the inflationary surge of the 2020s. At high unemployment rates, an increase in deman
日本銀行(「Wikipedia」より) 安倍晋三元首相が「日銀は政府の子会社」と発言したことについて、マスコミや野党から批判の声が上がっている。筆者からみると、数年に一度起こる現象だ。はっきりいえば、無知なマスコミが取り上げて、無知な野党が騒ぐだけだ。 安倍氏が言ったのは、以下の2点だ。 (1)日銀が購入した国債について、政府は利払いをするが、これは政府に戻ってくる (2)日銀が購入した国債について政府が償還する必要がない 利払い・償還の負担がないことを「日銀は政府の子会社」と表現した。 (1)については、日銀は無コストの日銀券発行により国債を購入するので、政府から受けた利払いは収益になる。その収益は納付金制度があるので、政府に支払という意味で、正しい。また、(2)については、財政法に基づく予算総則の規定により、これも正しい。 安倍氏の発言は正しいので、その表現にも意図するところにも何も問
今月12日の米CPI公表以降、クルーグマンが精力的に米インフレについてツイートしている。 公表当日のスレッドでは、リアルタイムにCPI公表をカウントダウンして待ち構えている。 So, 12 minutes until C-hour, as in CPI. And you know that all the headlines will be about headline and core inflation over the past year — even though everyone knows these are poor indicators of the current state of inflation 1/ Things we know: shelter costs are a hugely lagging indicator, reflecting a surge in
2日の東京外国為替市場は、アメリカが大幅な利上げを続けるという見方から円安が加速し、円相場は、24年ぶりの円安水準となる1ドル=140円台前半まで下落しました。 2日の東京外国為替市場では、日本時間の1日夜に発表されたアメリカの経済指標が市場の予想を上回ったことを受けてアメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が大幅な利上げを続けるという見方が広がりました。 このため日米の金利差の拡大が意識され、円を売ってより利回りの見込めるドルを買う動きが広がりました。 午後5時時点の円相場は、1日と比べて96銭、円安ドル高の1ドル=140円24銭から26銭でした。 ユーロに対しては1日と比べて39銭、円安ユーロ高の1ユーロ=140円8銭から12銭でした。 ユーロはドルに対して1ユーロ=0.9988から89ドルでした。 市場関係者は「投資家の間では、円安ドル高の傾向はしばらく続くという見方が多
日本銀行の植田和男総裁の発言をきっかけに長期金利が9年8カ月ぶりの水準に上昇した。金利市場では、年末から年明けにかけてのマイナス金利政策解除を織り込む動きも出始めている。 日銀総裁、賃金と物価の好循環のデータが年内にそろう可能性も-報道 日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)の6カ月先1カ月金利から足元のOIS金利を引いた数値が11日、一時0.08%と2月以来の高水準に上昇した。今後半年間で1ベーシスポイント(bp)近い利上げが行われるとの読みを意味する。 日銀は7月にイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の上限を事実上1%に引き上げた。市場では次の展開としてYCC解除が先行し、マイナス金利解除はまだ先との見方が多かった。年末年始という早い時期にマイナス金利解除が行われるとの見方が強まれば、国内金利に一段と上昇圧力が高まる可能性がある。 日
<MMT派と正統派とは、基本的に水と油にように混じり合わないマクロ経済思考の上に構築されている。しかし、反緊縮正統派の側からは時々「少なくともゼロ金利であるうちはMMTと共闘できる」といった発言が聞こえてくる。それはなぜか......> ●前回の記事はこちら: MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(2)─貨幣供給の内生性と外生性 MMT(現代貨幣理論)の主唱者たちによれば、MMTと正統派の最も大きな相違の一つは、前者が貨幣内生説であるのに対して後者は貨幣外生説を信奉している点にある。しかしながら正統派にとってみれば、貨幣内生と外生の相違は、単に現実を理論化する場合の抽象の仕方の相違にすぎない。実際、近年のニュー・ケインジアンのモデルも含めて、ヴィクセルに発する系譜のモデルは基本的にすべて貨幣内生である。 正統派にとっては、本質的な対立点はまったく別のところにある。それは、貨幣供給の内生性を強
米金融当局は高水準のインフレを引き下げることに、これまでのところあまり成功していない。だが、その金融引き締め策は、新型コロナ禍で膨張した資産バブルの縮小に大きな効果を発揮している。 暗号資産(仮想通貨)市場は一時、時価総額が3兆ドル(約410兆円)に上っていたが、今では3分の2以上縮小した。投資家が好むテクノロジー株は50%余り下落し、高騰していた住宅価格はこの10年で初めて下げている。 最も重要かつ意外なのは、これら全てが金融システムに大打撃を与えることなく起きていることだ。 ハーバード大学教授のジェレミー・スタイン氏は「驚くべきことだ」とし、「1年前に『0.75ポイントの利上げが何度も行われることになる』と言ったら、『頭がおかしいんじゃないか。金融システムを壊してしまう』という話になっていただろう」と述べた。同氏は2012年から14年に、米連邦準備制度理事会(FRB)理事として金融安定
5月2日、日銀は、4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)全文を公表し、足元の物価高をけん引しているエネルギー関連や食料品の価格が物価指数に与える影響を分析。食料品は値上げが始まると加速しやすいなどと指摘した。写真は都内で2017年6月撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai ) [東京 2日 ロイター] - 日銀は2日公表した4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)全文で、足元の物価高をけん引しているエネルギー関連や食料品の価格が物価指数に与える影響を分析し、食料品は値上げが始まると加速しやすいことに留意が必要だと指摘した。ただ、資源高が進んだ2007年―08年と比較して、現局面ではコロナ禍で積み上がった「強制貯蓄」などがあり、コロナの影響剥落で実体経済は回復を続けるとの見通しを示した。 日銀は4月27―28日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を賛成多数
発言を恣意的に切り取った報道 日本銀行の黒田東彦総裁がきさらぎ会での講演【注1】の中で「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したことへの批判が広がっている。総裁は庶民の苦しみをわかっていない、総裁は買い物をしたことがあるのかといった怒りの声が上がり、黒田総裁も謝罪に追い込まれた。与野党の政治家からも批判が相次ぎ【注2】、共同通信の世論調査でも黒田総裁を不適任とする回答が6割となった【注3】。黒田総裁は猛烈なバッシングを受けている状況である。 しかし、黒田総裁がどんな文脈で値上げ許容度が高まっていると発言したのか、読者は正確にご存じだろうか。怒りに身を任せる前に、きちんと情報を確認してほしい。 きさらぎ会での黒田総裁の講演は、現在の資源高を乗り越えるには賃金上昇が必要であることを訴えたものである。黒田総裁は、資源高の下で消費者が値上げを受け入れているのだから、賃上げが必要であり、日銀は企
世界経済の情勢が不透明感を強め、国内の景気も落ち込んでいるなかで数カ月後には消費増税するということは、常識レベルでも私たちの生活を直撃することは目に見えている。 しかし、財務省という硬直化した官僚組織にはそのような常識は通用しない。あくまでも消費増税を完遂するのが、この組織の目的である。最近は「財政危機」という理由だけではなく、むしろ消費増税以外の経済政策は害悪である、という宣伝まで始めたようである。 特に財務省がイメージ戦略のターゲットにしているのが、MMT(現代貨幣理論)への批判だ。このMMTは積極的な財政政策の拡大を主張していて、財務省の消費増税の方針とは真逆に位置する。もちろん以前から日本に積極的な財政政策を採用するようすすめる経済学者やエコノミストは多い。一例では、元IMF(国際通貨基金)のチーフエコノミストのオリバー・ブランシャールらが、日本に積極的な財政政策を採用するようにす
昨年来のインフレは、アメリカをはじめとする世界の政治経済の状況を一変させた。IMFと世界銀行は、世界同時利上げによる景気後退リスクについて、国連と同調して懸念を表明しているが、インフレの原因や定義についての議論は未だに錯綜している。また、インフレを巡る政治や、利益を得る人と被害を被る人の配分的影響も問題となっている。 こうした問題の基礎を明らかにするため、ニューヨーク市立大学労働都市研究学校の准教授のサミール・ソンティと、ジョン・ジェイ大学准教授のJW・メイソンによる対談をお届けする。 Who Pays for Inflation? A conversation on monetary policy, labor, and the definition of inflation Posted by Phenomenal World :Samir Sonti , JW Mason Octob
黒田東彦日銀総裁の功罪について専門家に話を伺います。東京財団政策研究所主席研究員で、日銀で2013年まで理事や調査統計局長を務めた早川英男さんに聞きます。 ―――日銀の黒田総裁の取り組みは、及第点に達していますか? 及第点はあげられないですね。黒田総裁の政策は一定の成果はありました。実験的な政策にチャレンジしたことについては評価ができると思います。 ただ、上手くいかないことが分かってきても、なかなか柔軟に転換できなかったのは問題点だったと思います。 ―――評価できるところと、できないところがあるということで、詳しく聞いていきます。まずは功罪の「功」の部分、評価できる点を教えてください。 黒田総裁の金融緩和、「黒田バズーカ」と言われています。特に最初の1年は円安・株高が進み、景気もよくなりました。物価も1.5%は上がりました。 円高や民主党政権時代の混乱によって沈滞していた国民の心理が明るく
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はらだ・ゆたか/1950年東京生まれ。名古屋商科大学ビジネススクール教授。1974年東京大学農学部卒。経済企画庁、財務省などを経て、大和総研専務理事チーフエコノミスト、早稲田大学政治経済学術院教授、日本銀行政策委員会審議委員などを歴任。著書に『日本国の原則』(石橋湛山賞受賞)、『デフレと闘う』など。 原田泰 データアナリシス 日銀審議委員等を歴任し、現在は名古屋商科大学ビジネススクール教授である原田泰氏が、日本の社会で日々起こるさまざまな事象を数字で読み解いていく。長年にわたって経済・金融政策立案の最前線に身を置いてきた原田氏ならではの鋭い視点で、日本の深層に迫る。 バックナンバー一覧 安倍政権の経済成果は、財政状況を改善したことだと本連載の前回『アベノミクスの代名詞「大胆な金融緩和」は日本経済に何を遺したか』で書いた。その際、読者が意外に思う事実を書きたかったのだが、今回は多くの人が既に
消費増税のタイミング 6月に入ってから二転三転した消費増税問題だが、どうやら予定通り10月から実施ということで落ち着きそうな感じである。そこで、各種世論調査をみると、前回の2014年4月の消費増税時よりも、増税による景気の落ち込みを懸念する声は強いようだ。 筆者は、今の時期はデフレ克服に集中すべきであり、しかも、(長期間ほぼ横ばいトレンドであった名目GDPの水準が、そのトレンドを突破しつつあるという)もうひとがんばりでデフレ克服も実現するのではないかという状況でもあるので、このタイミングでの消費増税は「日本経済の成長」という観点から考えると「もったいない」と思う。 ところで、現状の景気だが、例えば、内閣府が発表している景気動向指数をみると、景気の先行きを示す先行指数、現状の景気の状況を示す一致指数は次第に低下基調を強めている状況である。また、株式市場をみても、日経平均株価は2万円台を維持す
「日銀の黒田東彦総裁(78歳)は、在任期間の歴代最長記録を更新中です。しかし、さすがに再任はもうない。それどころか、任期満了前に辞任を決断するかもしれません」(全国紙経済部デスク) 【画像】2023年、日本経済は大転換へ~市場の圧力が「日銀の不合理な政策」を変更 黒田氏は東大法学部在学中に司法試験に合格。国家公務員試験では2位で旧大蔵省に入省した学究肌の超秀才だった。だが、日銀が抱える宿年の課題を解決するには至らず、晩節を汚しつつある。 '22年12月20日、日銀は大規模な金融緩和策の修正を発表。長期金利の上限を「0. 25%程度」から「0.5%程度」に引き上げた。これが大きな波紋を呼んでいるのだ。黒田氏は、記者会見で「利上げではない」と抗弁したが、信じる者はいない。 「そもそも黒田総裁自身が9月26日の会見で、長期金利の上限引き上げは利上げに当たるのかと記者に問われて、『それはなると思う
日本のマーケットで存在感を増している海外投資家。その動きがときに投資家の方向性を大きく左右します。7月に海外勢が投資先として目を向けたのが日本国債と日本株。このうち長期国債の買い越し額は過去最大となりました。なぜマネーは日本に向かったのか取材しました。(経済部記者 古市啓一朗) 海外勢の日本国債の買い越し額が過去最大に 買い越し額は実に5兆3582億円。データがある2004年以降では最大です。 国債市場では、この前月の6月、海外投資家と日銀との激しい攻防がありました。 世界的な物価上昇が続く中、日銀も欧米の中央銀行のように政策変更を余儀なくされるのではないか、こうした思惑から海外投資家が日本国債を売り浴びせ、一時、日銀が示す長期金利の上限を超える事態となったのです。 これに対し、日銀は国債を無制限に買い入れる「指値オペ」で応戦。1か月間に買い入れた長期国債は16兆円を超え、前の月の2倍を上
年金資産を運用する国の独立行政法人と日本銀行が、東証1部企業の8割にあたる約1830社で事実上の大株主となっていることが朝日新聞などの調べでわかった。4年前の調査時から倍増した。巨額の公的マネーは実体経済と乖離(かいり)した株高を招き、「官製相場」の側面が強まっている。「安定株主」として存在することで企業の経営改善に対する努力を弱める恐れがある。 【写真】株価の推移と公的マネーの株式保有額 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と日銀の3月末の保有分を、東京商工リサーチとニッセイ基礎研究所の井出真吾氏の協力を得て朝日新聞が推計した。GPIFと日銀は信託銀行などを通じ、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの指標に連動した金融商品を買っている。こうした指標に含まれる銘柄の株主名簿に名前は出ないが、間接保有している。 大量保有を報告する基準の5%以上を大株主としてみると、東証1部2166
やまざき・はじめ/1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。東京大学を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会、各種委員会委員等を務めた。2024年1月1日、永眠。 山崎元のマルチスコープ 旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。 バックナンバー一覧 「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄首相だが、岸田首相に任せておくと、福祉国家と新自由主義のそれぞれのメリット部分を選んで捨てる組み合わせになりそうで心配だ。
日経平均株価が3万円台まで上昇していることについて、日銀の黒田総裁は衆議院の財務金融委員会で、企業決算の内容が「従来考えていたよりも少しよいものが出てきている」との見方を示す一方、経済の下振れリスクは無視できないとして、金融市場などの動向を引き続き注視していく考えを示しました。 この中で黒田総裁は、株価上昇の背景について「基本的な考え方として、株価は企業の収益の先行きや、経済の先行きを勘案して決まってくる。アメリカでも日本でも企業収益の発表が次々に行われているが、従来考えていたよりも少しよいものが出てきている」と述べました。 その一方で、先行きについては「新型コロナウイルスのワクチンの接種が欧米で進んでいることで、経済が上振れする可能性が出てきたというエコノミストもいるが、私は依然として慎重に見ている。世界経済、日本経済にとって下振れリスクは無視できないと思う」と述べ、国内外の経済や金融市
国際通貨基金(IMF)のゴピナート筆頭副専務理事は18日、日本のインフレ率は結果的に目標を下回る高いリスクがあるため、日本銀行は世界の他の中央銀行とは異なる課題に直面していると語った。 ゴピナート氏はスイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に合わせてブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「日銀は極めて複雑な決定に対処しなければならない」と指摘。日本のインフレ率は上昇しているが、世界の他の主要国・地域とは違い、「インフレ率が再び目標を大きく下回るリスクは高いままだ」と語った。 その上で日銀について、「彼らは金融政策を緩和的に維持しつつ、それが新たに発表されるインフレデータの上振れと整合的であるよう確実にするという、こうした複雑なトレードオフに対処する必要がある」と話した。 このほか、世界的な物価動向を巡っては、ヘッドラインのインフレは恐らくピ
2019年7月12日 尾崎達哉*1 玄田有史*2 全文 [PDF 1,876KB] 要旨 本論文は、人手不足が深刻さを増す一方、賃金の顕著な上昇が見られない背景について最新データを用いて考察した。労働供給の拡大が収束し非正規雇用の労働市場がルイスの転換点を迎えれば、賃金は今後急速に上昇する。その可能性は世帯所得と留保賃金の高い人々の参入が始まった女性について大きい。引退が抑制され非正規求人の受け皿となってきた高齢者も、団塊世代が70代となり労働市場からの退出が本格化すると、賃金上昇に早晩転じる可能性はある。正規雇用では月給削減を嫌う労働者の心理により、企業は将来の賃下げにつながりかねない現在の賃上げを回避しがちなことが指摘されてきた。そこで毎月の給与に代わって賞与が柔軟な配分をもたらす可能性も検証した。実証分析からは業績の悪化に対しボーナスは大きく下方調整される一方、業績の改善に応じたボー
9月9日、白川方明・前日本銀行総裁(写真)は8日のオンラインセミナーで、主要先進国の中央銀行がゼロ金利制約に直面する中、主流派経済学とその金融政策の処方箋の有効性に疑問が浮上しつつあるとの認識を示した。写真は都内で2013年2月撮影(2021年 ロイター/Yuya Shino) [東京 8日 ロイター] - 白川方明・前日本銀行総裁は8日のオンラインセミナーで、主要先進国の中央銀行がゼロ金利制約に直面する中、主流派経済学とその金融政策の処方箋の有効性に疑問が浮上しつつあるとの認識を示した。 白川氏は「日本ではアベノミクスに対する熱狂がしばらく続いた中、(日銀の)バランスシートは大きく膨らんだ。だが、インフレ率は全く反応せず、現在は若干のマイナス圏にある」と指摘。当局者が対応すべき問題は、低インフレという現象そのものではなく、生産年齢人口の減少といった構造的な要因であると指摘し、「デフレや日
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