最高裁判所(東京都千代田区)の大法廷が今年2月から使用中止になっている。昨年10月に法廷内で高い濃度のアスベスト(石綿)が測定され、除去工事などが行われているため。石綿の付着が確認されたのは約10年前で、専門家からは「その時点で飛散防止をするべきだった」との指摘も出ている。 最高裁の調査資料や工事関係者らの証言によると、最高裁は2009年に全庁舎(1974年竣工(しゅんこう))の吹きつけ石綿の実態調査を実施。大法廷棟や図書館棟などの30カ所以上で石綿の付着を確認した。大法廷は、天井の円筒状の吹き抜け部分(直径約15メートル、高さ約25メートル)のアルミパネル裏側全面に石綿が吹きつけられていた。パネルの結合部が金網のため、法廷内に通じる構造となっていた。大閲覧室(図書館棟)の天井裏にも石綿が確認された。 国の石綿障害予防規則では「労働者が吹きつけ石綿の粉じんにより、ばく露するおそれがある時」