静岡県の川勝平太知事の電撃辞任に伴う知事選が5月9日告示、同26日投開票という日程で実施される。川勝知事は、静岡では国や巨大企業に対して軋轢(あつれき)を恐れずにものを言ってきたイメージが定着しているが、全国的にはリニア中央新幹線静岡工区の着工を認めなかったことでよく知られている。そんな知事が辞任することから、これでリニア問題は一段落すると思われがちだ。しかし、現実はそう簡単な話ではない。むしろ混迷を極めているともいえるが、その背景には静岡県ならではの2つの事情がある。 南アルプスの生態系を守る第1点は、長らく続いた川勝知事のリニア問題への対応から、県民の環境意識が極めて高まっているということだ。 環境保全に対する意識の高まりは世界的な傾向であり必要なことだが、静岡に限ると、静岡工区がある〝南アルプス〟の生態系を守るという意識が高い。 地元経済の繁栄を熱望する企業経営者らも「リニアができれ